掛川奮闘記

2006年07月28日(金) 060728_琴似駅周辺町づくりの秘密

 朝晩は涼しいのですが日中は夏らしくなってきました。巷の子供達は夏休みに突入で一番楽しい時期でしょう。

【琴似駅周辺の秘密】
 以前にも書いたのですが、JR琴似駅周辺はスカイウォークで二階の高さで通路が繋がっていて、雨に当たらずに買い物や交通移動が出来るという面白いまちづくりを行ってきていて、コンパクトシティとしての一番の見本なのだと思っているのです。

 札幌は積雪寒冷地と言われていますが、積雪と寒冷地の両方の要素を持っている地区に180万人以上もの大都市として存在しているのは世界でも札幌だけなのです。この特異な

 そこで知人を介して、この琴似駅周辺のまちづくりのキーマンとも言えるAさんをご紹介していただいてその地域の秘訣を伺う事が出来ました。

 来ていただいたのはこの地区の再開発事業組合の方で、この方がもう何年もこの地区の意見交換、対話と会話の最前線で力を発揮されているのです。

 Aさんによるとこのようなまちづくりがこれまで来たのも、決して最初から最後まで見通したわけではないのだと言います。

「よくあれだけの建物群を渡り廊下でつなぐ事が出来ましたね。そのポイントは何だったのですか?」
「やっぱり徹底的な話し合いじゃないでしょうか」

「行政はそのときに重要な役回りを演じられましたか?」
「行政の方にも限界があって民間の方が動きやすいという事があったように思います。例えば二階の空中廊下を整備していっても、その先が空き地だったりすると、民間だったら今は空き地であっても、そこにいつかできるかも知れない建物に接続出来るようにしておこうと思うものです。しかしそれが行政の人たちからは『そこに建物が出来るという担保があるのか?なければそんな仮の話のための用意は出来ない』という事になるのだと思います」

「行政としては間違っていないのかも知れませんね」「おそらく行政の判断としてはそれは正しいのだと思いますよ。しかしその先に地域の幸福を見出そうとすれば、やはり用意をしておくべきです。そして空き地に立つビルの開発事業者と地域の人たちとが十分に話し合って廊下の接続をしていったのです」

「最初からこうやってつないでいこうと考えたわけではないのですね?」
「どんな建物が出来るか分からないのに、そんなことはできません。しかし出来るという事になれば、事前に十分に話をする事で廊下をつなぐ事が建てようとするビルにとっても非常にメリットのある事だという事はすぐに分かってくださいました」

「琴似駅ともちゃんと繋がっていますよね」
「偶然つてがあって、JRの関係者と話すチャンネルがあったのが幸いでした。JRさんの方も、地域が住みやすくなって地域住民が増えれば当然乗降客数も伸びるわけですから、地域作りには協力をしてくださいました。その結果、最初の頃は快速電車が止まらない駅だったのに、今では快速が止まるようになり、交通の便が向上し、ますます地域の価値が上がっているんです」

「最初にやろうとしたときは大変だったでしょうね」
「やはりその必要性を理解してもらうのが大変でした。建物の中の廊下も公共施設として市が管理をしていたときもありましたが、そうすると24時間使えなくてはならないといった条件になってしまいます。すると夜に寝泊まりされたり火を使われるなど、管理の手が及ばない事態が起きてしまい、今では地元に管理が任されるようになり、適正な管理が出来るようになったという事もありました。それも全て地元の人たちとの話し合いの上で納得した結果なのです」

「話し合いが全てという事ですか」
「その通りです。何か問題が起こる事を恐れるのではなく、問題が起きたら話し合いで解決をすると考えるべきなのです」

「なにかやって良かった事例がありますか?」
「隣接する敷地からでる広場を境目を無くして建物群の真ん中に置きました。どこまでがどちらのビルの所有かなどという境目を無くす事で、地域全体の公園になったのです。子供達の遊ぶ声がうるさいという住民がいたら、子供達の声を抑えて静かにするのではなく、ではどうしたらよいだろうかということを地域の皆さんと考えればよいのです」

「なぜこうした動きが琴似地区だけで出来るのでしょうか」
「他の地区の事は分かりません。でも私たちのところでは再開発組合としてごく少数の人間が情報を共有しあいながらとにかく話し合うということを地道に繰り返しています。それしかないのではないでしょうか」
  

 私がこれまで感心してきた琴似駅周辺のまちづくりの陰にはやはりこうしたキーパーソンがいたということが改めてよく分かりました。

 いうべき事はしっかり言う。そのうえで地域の総意を時間をかけてまとめ上げて行く。その結果、冬でも過ごしやすいコンパクトシティが実現しているのです。

 琴似地区にはこれからも注目です。


 < 過去  INDEX  未来 >


こままさ