掛川奮闘記

2006年07月02日(日) 060702_大臣会合二日目〜現場の底力

 今日も阿寒湖畔は朝から快晴。運輸局のスタッフの中には徹夜でいろいろな調整をした人たちもいたようです。実際調整は大変なのです。

【観光大臣会合二日目】
 今日の午前中は一番のメインの三カ国大臣による会合が開かれました。会合では三大臣が観光に関する意見を交換するという事になっているのです。

 ところが開始時間の9時になっても会合がなかなか始まりません。中央ロジ室へも大臣を呼び込む許可が出ず担当スタッフもやきもきしています。開始時間が遅れることで終わりの時間も遅れたりすると、本日の全ての行程が狂ってしまうのです。

 始まりが遅れた理由はどうやら三カ国による共同宣言の内容で目標数値への思い入れが各国の間で温度差があって、そこの調整に手間取ったのだとか。

 調整がなされてからも配付する資料をコピーするのに時間がかかり、結局始まった段階で30分遅れということになりました。

 このような会合ではあらかじめ参加者の間で話し合う話題について大まかなシナリオが出来ているのですが、逆にその事は時間を詰める事を難しくしてしまいます。

「このままでは午後一時の出発が30分遅れそうだ」という情報が流れて、スタッフの間に緊張が走りました。今日は午後1時の出発の後には何カ所かでトイレ休憩を挟んで旭川の旭山動物園、その後に旭川市内での三カ国交流レセプションが予定されているのです。

 さらに日程を聞かされた大臣から「旭山動物園をもう少しゆっくり見たいなあ」というリクエストが出されて、詰めようのない行程からさらに時間を絞り出す算段がロジ室で繰り広げられました。

「トイレ休憩を一カ所削るしかないのですが…」
「仕方がありませんね。しかしその休憩予定の町で町長がお出迎えの品を持っているので大臣だけは受け取っていただけませんか」
「分かりました。では大臣だけがバスを降りて町長さんに表敬するという事にしましょう」
 そんなやりとりが交わされて、予定が時々刻々と変化して行きます。

 そうこうするうちに、会合を仕切るスタッフも頑張ってくれて時間が経つにつれて押している時間が短くなって行きます。
「今23分押してます…」それが30分後には「15分押しです」
 その5分後には「10分押しです、取り返してます…」5分で5分を取り返すというのもなかなかな腕ですが、そうやって少しずつ時間を取り返して行きました。

 結局大臣会合は北海道宣言を読み上げて時間通りに終了、奇跡的な取り返し方です。ところが、今度は休憩を挟んで11時から一時間の予定の記者会見になったところで記者からの質問が相次いで再び押し気味に。もうシナリオのない時間帯では取り戻す事ができません。

 記者会見で再び15分の遅れとなりましたが、今度はここでは昼食時間を削って対応。とにかく時間との戦いでしたが、なんとか一番のメインの公式行事を終える事が出来、ロジ室一同はほっと胸をなで下ろしたのでした。

    *   *   *   * 

 さて、いよいよここからが時間を縮めながらの移動という綱渡りです。

 途中のトイレ休憩予定箇所でも休憩はせずに大臣だけが町長を表敬する形で過ぎようとしましたが、我が局長は「ちょっと町長に仁義を切ってくるよ」と言うとバスを降りて行きました。

 緊張しながら大臣に挨拶していた町長も局長の顔を見ると「あ、局長さん、今回はご苦労様です」と知った顔を見てほっとした様子でした。

 今回の旅程では大臣にはずっと開発局長が随行したのですが、行く先々で顔を見知った人がいて安心するというシーンに出くわしました。日頃から地域に入り込んでご用聞きをしながら顔を見せて地域の皆さんの信頼を得ているという関係性がまさに力を発揮した瞬間でした。
 この私ですら「あ、企画官」と声を掛けてくださる人もいて、誰彼なく普段から会話をしていると言う事の積み重ねが生きた瞬間です。
 

 まさにこれが現場を持ち、現場を預かって責任を持って担当をするという徹底した現場主義のなせる技なのです。国土交通省、いやわが開発局ほどこうした地域との関係性を大事にするところもありますまい。現場を大事にするという今までのやり方は決して間違っていないという事を改めてこの目で確かめた瞬間でした。自信を持って良いのです。

 結局途中のトイレタイムは糠平湖上流の幌加除雪ステーションとなりました。ここでバスから降りて休憩された大臣は、遠くで整列している作業服姿の一団を見つけて、「あれは開発局の皆さんなの?」と訊ねられました。私が「そうです」と答えますと、大臣はそちらの方へ十メートルほど歩かれて「ご苦労様、ありがとうございます」と激励をしてくださいました。
 作業服を身にまとった我が開発局の一団も整然と答礼で応えてくれました。開発局の職員が姿顔の見える形で今回のイベントを支えているということが大臣には印象的に映ったに違いありません。

 それでなくても当局では、悪天候で予定の道路が危険箇所で通行止めになったときには迂回路はこちらを利用するというシミュレーションとその際の連絡網も作ってくれていましたし、沿道は事前にパトロールをして必要な箇所では草刈りなどの維持管理もしてくれていたのです。隠れた努力は誰かが見てくれているものです。

    *   *   *   * 

 旭川でもレセプションでの警護準備ではなかなか上部からの指示や連絡が降りてこず、現場が相当苦労したという話を聞かされました。実際のところ、相手国からの連絡がかなりぎりぎりになって届いたために様々な局面で無理がかかったのです。しかしそれでも少ない情報なりにマニュアルを作り、動員対象者に当方なりの指示が行き渡るのが我が組織の強みです。
 事前の準備もしっかり進めるけれど、いざ本番になって現場を預けられるとそこでの本来目的をしっかりと考えた上で最適な判断と対応をするのが【現場力】です。

 私も三日間日本政府団一向に付き従って行動しましたが、行く先々で目にするのは安心出来る顔見知りのサムライ達の姿でした。この現場のサムライの伝統を若い人たちにもつなぎ続けて欲しいものです。

 旭川の交流レセプションでの三カ国の文化的出し物も素晴らしかったけれど、私が一番嬉しかったのは、その現場を自分はしっかりと守るのだという、『仕事観』という文化でした。

 地域に入って顔を見せること。その積み重ねによって信頼という金では買えない財産を築き上げる事。それすら現場を預かる自分にとっては当たり前という奥ゆかしい責任感。

 良いものを見せていただきました。ありがとうございました。


 < 過去  INDEX  未来 >


こままさ