つい一ヶ月前くらいに、合コンに来ていた女の子に 偶然街で出会った。
その時は気にはなっていたのだが、 ちょっと話しただけでお開きになってしまい、 僕の記憶からは消去されようとしていた子。
ばったり会って何も話さないのも変か、と思い、 お茶に誘った。
なんとか共通の話題を探そうと趣味の話や、 最近の出来事など他愛もないことを話した。 向こうも出方を探ってるような感じがなんとなく可笑しくて、 この子と仲良くなろうというよりは、 この場を楽しんでやろうという気になった。
結局、他愛もない話も尽きたころ、 彼女がそろそろ帰らなきゃ、と言う。 一応礼儀かと思って、連絡先を聞いておいた。
向こうはJR、僕は地下鉄と方向が逆だったので、 カフェの前の交差点でサヨナラを言った。
背中に視線を感じながら、ここで一つ賭けをした。 僕が気のある素振りを見せて向こうを振り返れば、僕の負け。 そのまま地下鉄の駅に入れば、僕の勝ち。 なんとなく、振り返ったら二度とこの世に戻れないという 地図にない路地裏の話を思い出していた。
なんとか一度も振り返ずに地下鉄の階段を数段下りて、 そっと戻って彼女の方を覗き見ると、 カバンから携帯を取り出して、誰かにメールしているようだった。 きっと彼氏か誰かなんだろう。
賭けには勝ったが、勝負に負けた、そんな気がした。眼鏡さ、もし選んで欲しいって言ったら?うわ、選んでくれてもいいぜwここじゃモドカシイ。レンタルチャットでも用意しとこう。じゃ、今日は寝ます。
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