あお日記

2002年11月27日(水) 呼び出し


 私が高校を卒業して早二回目の文化祭がめぐってきた。今思うまでもなく、かなりの度合いで私はまだあの高校に、あの部活に依存していた。新しい環境、新しい人間関係など私の中で無いに等しく、持ち前の厭世的な性格も相まってか、目の前にある既存の人間関係にも手探り状態。結局私は長いこと周囲の異なった考え方に対して自分の意見を述べることも無く双方に顔が立つような妥協を繰り返してきた。そういった利害の衝突を避けてきた私が「無害」と呼ばれるのは当然といえばそうで、今振り返ってみるとあまり喜ばしいことでもない。

 この年の文化祭前に私はハマちゃんに電話をした。それほど頻繁ではないものの、彼女とは慢性的に連絡の取り合いをしていたように思う。ただ私はミルほどマメではない。彼に対して私が理解できないことのひとつがこの「女性だけには連絡マメ」といったところだった(笑)。本人によると「自分から連絡しないと向こうからは来ない」からであるらしい。まあ確かにそれは真実であって、当時は妙に納得もしていた。彼の無害性は私と同等と思っていたが、周囲が同じように感じていたかどうかは疑問である。彼に対するそういった誤解を信じていた当時の私はそれを快く思ってはいなかったが、本人の気にするようなことでもなかったようだ。彼から入ってくる情報は当然のように女性のものばかりであったが、信憑性においては間違いはなかったようだ。それはまあ語った女性本人が素直な人間たちばかりなのと同じ意味だ。

 私からの呼び出しに意を決めかねているハマちゃんの息遣いが受話器の向こうから伝わってきた。敏感な彼女はそれがただ事でないことを察してか珍しく口数が少なくなった。ただそれが的を射ていないのがハマちゃんたる所以だ。こうと決めるとひとつのことにとらわれがちで思考範囲が狭くなるのは当時の私と似ている部分もあったろう。だからこそ私は彼女に目が向いたのだろうなぁ。
 
 授業が終わってから部室で会う約束を取り付けて、受話器を置いた。もちろん私はハマちゃんとサシで話すつもりで会う日の来訪者の予定も彼女に確認したと思うのだが、そもそもあの部室で2人きりになるのは無理があるのだ。そのあたり、私はツメが甘い(笑)。



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