あお日記

2002年11月26日(火) _/_/_/ 夢 _/_/_/


 幼い頃に経験した甘酸っぱい気持ちと同居していたほろ苦い無力感。どうしようもなく私は子供で、その人の前では言葉を発することさえままならない、視線を交差させることすらできないで終始うつむき気味な自己主張のない少年だった。人間の持っている基本がそれほど劇的に変化することなく体だけ成長したような私だが、とりあえずそんな傾向は嶋さんの頃あたりまでで、それ以降はささやかながら片思いの相手にコミュニケーションを求めるようになってきた。どちらかといえばそれはただ単に人間が大人になっていく過程で得られる「成長」というやつであって、社会生活を営む上で当然身につくべき能力なのだろう。


 彼女さんと付き合うようになってから早3年目に入った。私は就寝時にそれほど夢を見るほうではないが、2年目を過ぎたあたりから時折同じような夢を見るようになった。そこには私の望んでいる全てが凝縮されているかのように穏やかで、限りない幸福感で私の気持ちを満たしている。もちろん私は今現在自分が持っているその幸福を否定する気はないし、このままゆっくりと形を変えつつもその本質が意識の永遠まで続くことを望んでいる。

 実際のところ私はいまだに彼女の娘さんと上手くコミュニケーションがとれないでいる。その全ては彼女さんを介してしか機能していない。そんな状態に気持ちが落ち込んでいたころもあった。なんといってもこの恋愛で私が手に入れた財産はささやかながらも「前向き」な気持ちだと思っているのだが、そんなバカげた落ち込みを徐々に駆逐していこうと思ったあたりから、同じような夢を見るようになった。


 私の夢は他の人間からみれば他愛のない小さなものでしかない。ただ私はそういったものを確実に感じるようになった自分をとても誇りに思う。そういった穏やかな夢を手に入れるために頑張ろうと思う自分が存在する不思議はもうすでに過去のものだ。この日記を書いていく過程で感じた自分は昔も今もそれほど変化などしていない。結局のところ私はこの両手に自分の望む幸福をいっぱい欲しかった。大切な人を想うことの幸福を。大切な人に想われることの幸福を。



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