風にふわりと 〜こころのすきま〜


偽善者


まったくの善人になれるということは、
とても素晴らしいことだと思う。
全ての人の全ての好意を肯定でき、
全ての人の全ての悪を正そうとし、
全ての人を心から愛することのできる、
そんな善人になれれば、
どんなにか幸せで、楽しいことだろう。
傍目に見てもきっとうつくしいだろう。

まったくの悪人になれるということは、
とてもうらやましいことだと思う。
誰かを傷つけても自分は傷つくことがなく、
自らの利益のためだけに生きることができる、
そんな悪人になれれば、
それはそれで、幸せだろう。楽しいだろう。
傍目に見たらきっとみにくいだろう。
しかし、それを気にせず生きることができる、
そんな悪人であれば、きっと幸せだろう。

わたしは善人でもないし、悪人でもない。
ある人の好意を、余計なお世話だと思うし、
ある人の悪に、見てみぬふりをする。
そして、ある人のことをどうしても愛せない。
誰かを傷つけたら、泣きたくなるほど苦しいし、
自らの利益のためだけに生きられるほど強くもない。
傍目を気にして、善人でありたいと願う。

嫌な顔をする自分と葛藤し、善人に近づこうとする。
他人の幸せを心から喜べず、作り笑いを浮かべる。
そんなわたしは偽善者だろう。

それが悪いと思うこともできないし、
また、偽善者は善人よりも悪人よりも、
ずっと苦しいとも思う。
けれども、自然な衝動を止められない限り、
わたしがわたしでいる限り、
きっとそのまま生きてゆくしかない。

そしてそう思い、自らを肯定するわたしは、
やはり偽善者だろう。



2004年06月07日(月)



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Akira
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