| Spilt Pieces |
| 2003年10月26日(日) 恋 |
| HPを作り始めの頃、サークルの後輩にアドレスを教えた。 当時はあまり気にしていなかったのだが、彼のサイトへのアクセスがものすごいので、このHPへ流れてくる人も結構多かった。 当然、オフで知られて困るようなことは当然自粛していたわけで。 最近そういったオフアクセスが少なくなったなと思ったら、いつの間にかリンクが外されていた。 私のサイトが身内向けのものではないと思ったからだろうか。 ともあれ、最近サークルの人がサイトを知っていることを恥ずかしく感じていたので、その気遣いに感謝。 珍しく大分長い前置きを書いてしまったが。 上のような理由で、今まで触れなかったような内容についても書くことにした。 今まで通りの内容の方が多いとは思うけれど。 ちなみに、これを書いているのは29日。 昨日久々に、前好きだった人宛てのメールを書いた。 ほんの数行、理由もなく。 今は何とも思っていないのだが、たまにそういうことをしたくなる。 多分、当時の自分が本気だったからだろう。 それに、友人が以前HP上で「プラトニックな関係は忘れられない」と書いていたが、自分もそうなのかもしれない、と思う。 声を聞くだけで満たされた頃。 欲は、ほんの少しずつ増していったけれど。 「久し振り、元気?」 中途半端で、意味もなく。 今ではもう会うことすら滅多にないが、今も数ヶ月に1度、本当にどうでもいいような連絡の取り方をしてしまう。 「今卒論を書いているよ。テーマは…」 私も私だが、彼も彼。 突然のメールに疑問を抱くことなく返信してくる。 そのまま数時間、他愛もない話が続く。 午前を回って眠くなってしまい、「またね」と書いて終了。 自分から送ったくせに我ながら傍迷惑な奴だ、と思う。 それでも彼は「おう、おやすみ」と送ってくる。 多分、「また」は数ヶ月先だろう。 きっと、次回も変わることなく同じ調子の返信が来る。 当時の私は自分でも呆れるほど子どもで、恋を失った直後は誰でもいいから好きになろうとして周りに散々迷惑をかけた。 恋愛なんて、エゴの塊。 何でもいい、どうでもいい、誰でもいい。 そんなひどい台詞を平気で吐いていた時期。 そして「熱しやすく冷めやすい」を自認していた私自身にとって、説明のつかない感情。 戸惑った。 意味もなく泣いてばかりだった。 その頃の日記などもう捨ててしまったから、詳しいことはよく覚えていないけれど。 「友達になりたい」 口癖だった。 誰よりも傍にいたいと願った人は、いつだって私を対等には見てくれなかったから。 頭を撫でられるのが嫌い、慰められるのが嫌い。 同じ目線で喋りたかったし、愚痴を聞いてもらうばかりじゃなくて聞いてあげたかった。 そう願い続け、彼が私に心を開いて最初にしてくれた相談は「好きな人がいる」というものだったから皮肉だ。 彼は、私が彼を好きだということを知っていた。誰よりも。 ごめんと謝り続けて、それでも相談したい相手を思ったとき、お前が一番に思いついたんだと彼は言った。 きつく受話器を握り締めたまま、落ち込む彼をただひたすらに励ました。 相談してくれてありがとう、という言葉を繰り返しながら。 「私のことなど気にしなくていいよ」 大嘘。 胸が痛くて、泣いてばかりいた。 当時関わっていた芝居でも、ボロボロだった。 初舞台だというのに全く気持ちが入らない。 次の舞台でも、集中しようと思うのにすぐに途切れた。 観に来てほしいと言っても、結局彼は1度も来てくれず仕舞い。 優しい記憶と、痛い記憶。 自分の中でようやく処理ができたのは、何年か経ってからのこと。 情けない、と呟いてばかりだった。 だけど感情というのは不思議なもので、いくら続くと思ってもいつかは風化する。 「友達になりたい」を願ったあの頃の私は多分正解だった。 今も普通に連絡を取り合うことができる。 お互い、昔のことなど忘れたかのような顔をして。 「久し振り、元気?」 きっとまた、同じような会話を繰り返す。 私は大分、幸せだ。 終わることや悲しいことばかりを想定するのは嬉しくないけれど。 でも、またいつか好きな人ができたなら、こういう関係を続けていける終わり方をしたい。 「今、バイト、白衣を着て土の調査やってるんだよ」 無邪気に書いてあるメールを読んでいたら、あの頃の気持ちがほんの少しだけ蘇ってきそうな気がした。 何だかひどく懐かしい、微かに切ない記憶だった。 |
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