Spilt Pieces
2003年07月14日(月)  レターセット
久しぶりにレターセットを買った。
大学近くの書店、文具コーナー。
平日の昼間だというのに意外と人がいる。
隣の人も何やら探しているらしい。
私がその場から去るのを待っているような雰囲気。
広い売り場、順番待ちをする必要もなさそうだ。
近くでソワソワ待たれると落ち着かない。
意味もなくノート売り場へ身を動かすと、彼女はそそくさとレターセット類が置いてあるコーナーに移動してきた。
微妙な気分。
そういえば以前、コピーを取っていたら後ろに並んだ人が背中の辺りにぴったりくっついた挙句足をパタパタ鳴らしていたこともあった。
長時間使っていたわけでもないのに、辛抱できない人なのだなと思った。
ほんのちょっとした仕草で、相手のことが分かってしまう。
おもしろくもあり、怖くもある。


最近よく使う連絡手段は、専ら携帯やパソコンのメールになってきた。
筆不精な私は連絡が途切れるということがよくあったので、メールはとても便利だと思う。
手紙を利用することが少なくなった。
文章を書く機会も減った。
挨拶文を考えるのにも、コピー&ペーストで何とかなってしまう。
手書きの文章が上手いか下手かなど、さほど重要ではなくなってきてしまったんだろうか。
あまり上手くない自分の筆跡を思いつつ、便利な時代に感謝したり寂しさを覚えたり。
時折無性に文字が恋しくなって、衝動的にレターセットやノートを買うこともある。
今日もその一例かもしれない。
順番が前後しているかもしれないけれど、せっかくだから誰かに何か便りを出してみようと思った。
どんな切手を貼ろうか。


最近の文具コーナーは、目がチカチカするような、カラフルなものが多い。
小学生や中学生の服装を見ていれば分かるような気もする。
そういえば、自分がその年齢の頃はどんなものが好きだったろう。
誰かを突き落とそうと考えなかったのは確かだけれど。
記憶が曖昧で、いまいち覚えていない。
ただあの頃から変わることなく寒色系が好きで。
「女の子はピンク」などと決められるのが好きじゃなくて、弟の文具と交換して欲しいと言っては親を困らせていたような気がする。
ひょっとしたら目がチカチカするような文具は昔からあったのかもしれない。
ただ、懐かしさは覚えない。


カラフルな、色とりどりの便箋や封筒。
ためしに買ってみようかと思ったけれど、結局シンプルな青に決めた。
まっさらな紙に、黒のボールペンを走らせる瞬間が好きだ。
いつも書くばかりで投函を忘れる手紙。
書き終えた時点で満足してしまう私にとって、ポストへ辿りつくことがいつもの課題。
今回は、誰にどんな手紙を書こう。
そういえば暑中見舞いも出さないと、などと思いながら。
中学校の頃の恩師に長らく会っていない。
毎年手紙のやり取りで終わってしまうが、今年は時間を見つけて会いに行ってみようか。
ぼんやりと、色んなことを考える。


私の部屋には、書いただけで出さなかった手紙がたくさんある。
高校の頃、部活の友達宛てに書いたもの。
家族宛てに書いたものの、照れくさくて結局投函できなかったもの。
文通相手に、書くたび出すのを忘れたもの。
何でだろう。
相手に向けて書いたはずのものなのに、読み返すと懐かしさと同時にその頃自分が考えていたことまで分かってきて。
何を思い、何を考え、何を感じて日々を送っていたのか。
今となってはもう出せなくなってしまった手紙を、未だに捨てられない。
きっと、そこには相手ばかりではなく自分までも生きていたからなのだろうなと思う。
内容は、些細なこと。
だけど、データが飛んで終わり、ではない、形として残るものが確かにそこにはあって。
残ることが嫌だと思う、だけどそれが時折ひどくいとおしい。
ああ、でもやはり、次書いたときにはきちんとポストに行く方がいいのだろうな。
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