2006年11月03日(金)  言い訳。
 
夜勤明け午前5時。尿器で患者さんのオシッコを採って、さぁトイレに捨てに行こうとした瞬間、尿器がベッド柵に当たり、僕の白衣のズボンがびしょ濡れになった。
 
「あぁ、小便でズボンがずぶ濡れになってしまった」
 
まだ薄暗い病棟の廊下を、半ば放心しながらガニ股で歩いてる僕を見て、ヘルパーさんが「どうしたの?」って駆け寄ってきて、「うわぁ」と後ずさった。
 
「パンツまで、ずぶ濡れだ」
 
独り言のように呟いて、フラフラとガニ股で通り過ぎていく僕を、ヘルパーさんが「どこ行くんですか?」と引き止めた。放心してただただどこまでも歩き続けようと思っていたのである。
 
「早く着替えてきた方がいいですよ」
「でもパンツが」
 
パンツがない。替えの白衣はいくらでもあるが、替えのパンツなんて持ってきてない。午前5時。患者さんの起床時間まであと1時間ある。コンビニにパンツ買いに行こう。
 
とりあえず白衣のズボンだけ着替え、朝靄かかるコンビニへガニ股で向かい、ガニ股でパンツを探し、ガニ股でLLサイズのトランクスしか売ってない。背に腹は変えられぬ。この下半身全体を支配する不快感から抜け出せると思えば、LLサイズだって構わない。ブカブカのパンツを履いて滞りなく夜勤の仕事を追えて、家に帰って洗濯カゴを持った妻は言った。
 
「昨日出掛けた時と帰ってきた時のパンツが違うわね」
 
患者さんの小便がかかったという言い訳が通じるかどうか。
 

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