2006年06月04日(日)  実家というもの。
 
去年の10月に、母親のために一軒家を購入して、固定資産税や住宅ローンと、毎月定期的に親孝行をしている僕が、この度初めて自分で購入した一軒家に足を踏み入れた。
 
というのもこの家、購入するまでは何度か下見をしていて、不動産屋とリフォームの相談や見積もり、畳は高いやつ買うからもう少しまけろなどの交渉、東京から鹿児島まで高い交通費かけてお宅の物件買ってやるんだなどの脅迫を得て契約に至り、お母さん、ここが僕たちの家だ。もう借家じゃない。世間的になんとなく劣っていたような生活はこれで終わりだ。万歳。住宅ローンはまだ残ってるけど気にしちゃぁいけない。毎月親孝行をしてると思えば軽いもんさ。それでは。と、東京に戻り、僕はいつもの日常に戻り、母は新居に引っ越して新しい生活を始めた。
 
そして僕は妻を連れて、この家に戻ってきた。僕が買った家に、母親が住んでいる家に、リフォーム前でも埃だらけでもない、生活の匂いがする新しい家に。
 
「1人では、ちょっと広すぎるのよね」
 
母親は嬉しそうに妻にソファーを勧め、僕に座布団を勧め、お茶の支度を始める。緊張している妻と、過剰なおもてなしを始める母を居間に置いて、僕はこの家の部屋ひとつひとつをゆっくり見てまわる。
 
流れ出た涙が乾くまで、僕はいつまでも同じ部屋の天井を見上げていなくてはならなかった。
 

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