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| 2002年10月29日(火) 非好意的なメッセージ。 |
| 今朝目覚めて顔を洗おうと思って鏡を見たら 右頬から鼻筋、左頬にかけて横一直線に鋭利な刃物で切られたような傷があった。 昨夜寝る前にまじまじと自分の顔を見た覚えはないけど、この傷はなかったはずだ。 そもそもこのくらいの傷だったら昨夜洗面所で歯を磨くときに鏡を見て気付くはずだ。 傷の深さは浅く表面的なもので出血も少量で止まっているようだけど 傷の深さ浅さでも出血の多量少量も問題ではなく、重要なのはこの傷はいかにして発生したかということだ。 あらゆる可能性を考えてみる。 僕は潜在的な自傷癖があって夜中に夢遊病者のごとくカッターを手に取り、ゆっくりと自分の顔に横一直線の切り傷を作ったのかもしれない。 尾の部分に鋭利な針を持っているアリとかムカデとかそういう小さな虫が僕が寝ているときに顔の上を這ったのかもしれない。 馬鹿馬鹿しい。どれも宜保愛子の霊能力のように信憑性がない。 僕は自傷癖なんてないし、尾の部分に鋭利な針を持っているアリなんているわけがない。 多分、誰か僕に対して小さな恨みを買っている人が (僕は恨みを買うようなことなんて――自覚的に――したことはないけど、人は誰だって――無自覚的に――小さな恨みを買っているものだ) 僕の枕元にそっとしゃがんで月明かりに照らされた僕の寝顔をしばらく覗き込んで あまりの熟睡している様子に小さな舌打ちなんて鳴らしてポケットに忍ばせた手術用の使い捨てメスを取り出して 痛みを感じない程度に、ゆっくりと時間をかけて、横一直線に切っていったのだと思う。 僕の顔の上に、何かの想いを、切り刻んでいったのだと思う。 その「想い」は好意的なものとは感じられないけど とにかく今、僕の顔の上には横一直線の傷が何かを訴えている。 僕は鏡の前に立ち、その傷を見て、その傷が伝える何かのメッセージを汲み取ろうとする。 多分、この傷は一生消えることはないだろう。 |
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