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| 2002年06月13日(木) 沼。 |
| 数日前、日記に登場した謎の電話の女性。 彼女は今夜も謎の電話を掛けてくる。 僕は、名前も名乗らない女性と話の相手をするほどの時間は 余るほど持っているので、 今夜も携帯から発せられる『カノン』の音色にすかさず反応するのである。 彼女が僕のことをどのくらい知っているかわからない。 ・僕の部屋を知っているけど、部屋の番号を知らなかった。 ・僕の電話番号を知っていた。 ・僕の仕事内容を知らない(知らないというか、少し間違えた認識をしている) ・会ったことがあると言う。 ・話したことがあるか問うと、それには答えない。 ・昔付き合っていた彼女のことを知っている。 まぁ、こんなものだ。 僕が彼女のことを理解していることは ・自分の名前を名乗らない。 ・住んでいる所を言わない。 ・仕事内容は決まって「秘密」と言う。 ・年齢も言わない。 要するに何もわからない。 「別に言ってもいいけど、それじゃなんだか面白くないでしょ」と言う。 それじゃなんだか面白くなかったら仕様が無いので 今夜も互いの探り合いが始まった。 「ああ!わかった!キミが誰だかわかった!」 なんて根拠のない嘘をついても彼女は見透かしたように鼻で笑う。 「あなたには私が名乗らない限り一生わからないわ」などと言う。 まるで、この世に存在しない者のように。 会話自体は毎日10分くらいで終わってしまうのだけど 僕はその無為な10分間のために、今夜はこれとこれとこれを聞いてみようなどと 仕事中に頭の中で考えている。 彼女がよく使う「沼」という言葉のように、 僕は知らぬ間に、得体の知れない沼に片足を突っ込んでしまっているのかもしれない。 |
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