2002年05月14日(火)  徐々に徐々に延々と。
夜10時。ビデオをレンタルしたいから付き合ってくれない?と友人が僕の部屋に来た。
 
「まぁ、きれい」
友人は僕の部屋を見て感嘆の声を挙げた。
久々の休日で、物思いに耽ること以外することがないので半ば強迫的に部屋の掃除をした。
必要じゃない物も必要な物もある程度処分した。
 
「引越しするの?」
「引越ししたい気分なだけ」
何処かへ消えてしまいたい気分なだけ。
ポロシャツとジーパンを履いて雨が降っているのに新品の靴を履いて友人の車に乗った。
夜10時なのに今日初めての外出。
 
「何か食べた?」
「今日、パン1個しか食べてない」
食欲がないからではなく、外出するのが面倒臭かっただけなのだ。
「どっか寄ってく?」
「ハローワークに寄って」
「馬鹿」
仕事が辛いからではなく、環境を変えたいだけなのだ。
 
「ねぇ、最近彼女とうまくいってるの?」
僕の様子を総括して、友人はそう尋ねた。
「終わってしまいました」
レンタルビデオを返却するような事務的な口調で僕はそう言った。
「そう」
レンタルビデオを物色するような口調で友人はそう言った。
 
「あなたはしばらく彼女なんて作らないほうがいいわ」
友人は『ムーラン・ルージュ』を手に取って言った。
「どうして?」
僕は『ブリジットジョーンズの日記』を棚に返しながら言った。
「あなたは、少し、難しい」
言葉の意味がよくわからなかった。少し、難しい?
 
「ねぇ、ビール買って帰ろう」
「いやよ、私は飲まないわよ」
「いいよ、一人で飲むから」最初からそのつもりなのだ。
「ねぇ、今度温泉行かない?」
「いいねぇ」
「いいでしょ。行こう行こう」
「行こう行こう」傷心旅行に。

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