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| 2002年04月13日(土) 38度の宿直室。 |
| 朝、職場の宿直室を開ける。 狭くて冷たい宿直室の小さくて固いベッドの上に青色吐息の後輩が横になっていた。 「夜勤の途中でダウンしたっス」 いつも元気と強引さだけがとりえの後輩が、目の下にクマを作り、唇をカラカラに乾かして 薄っぺらい毛布を肩までかぶり、僕を見上げていた。 「で、症状は?」 僕は何の感情も込めずに具合を訊ねる。 後輩を憐れに思う気持ちよりもも、僕は今から仕事なのに、未だに毛布をかぶって横になっている 後輩をうらやましく思ったり憎たらしく思ったり。 「下痢と嘔吐と頭痛っス」 今、病院では嘔吐下痢症が流行っている。後輩は日頃の不規則な生活が仇となったのだ。 「で、熱は?」 「・・・ないっス」 「測ったの?」 「・・・測ってないっス」 僕は後輩にバレないようにニヤリと笑う。後輩は、高熱があるという事実が、怖いのだ。 病は気から。後輩は高熱があるという事実に愕然とするだろう。 「はい、38度8分。重症ですね」 「マジっスか!?」 「病人に嘘なんてつけませんよ。ちょっと待っててね。Dr.に指示もらってくるから」 Dr.の元へ走る。なんだかんだいって後輩のことが心配なのだ。 いつも元気な後輩が僕に反抗しない姿なんて、なんだか不自然だ。 5分後、右手に点滴と注射、左手に血圧計を持って宿直室のドアを開ける。 「・・・なんっスかそれ」 「仕事道具」 「・・・注射だけは・・・やめて下さい」 「目の前に病人が横たわっていて注射をやめる?フン。そんな馬鹿な」 後輩の血圧を測り、点滴と筋肉注射を打つ。 仕事が始まっても30分おきに後輩の様子を見に行く。 なんだかんだいって後輩のことが心配なのだ。 「・・・先輩・・・ゴホッ」 「なんだよ」 「今日どこに飲みに行きます?」 こいつは必ず今日中に全快すると思った。 |
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