2001年09月01日(土)  ズボンを脱いで横になる(後編)
「前立腺の検査をします」
医者がこれから起こる悲劇を悟られないように落ち着き払った声で言う。
そんな安芝居は僕には通用しない。
僕だって病院で働く看護士なのだ。前立腺の検査の方法くらい理解している。
  
しかし、看護婦さんの目の前で下半身を露出して両足を上げて手で抱えるなんて、
いくら理解していても、そんなことできない。
第一、僕はまだ独身なのだ。彼女だっていない。結婚の夢だってある程度は抱いているのだ。
こんな恥ずかしい姿を晒したら婿になんて行けなくなってしまう。
  
「さっさと足を上げなさい」
「は〜い。・・・ちめてっ!」
  
何度も言うが、僕は物事の飲み込みが早いというか、人一倍諦めが早いのだ。
   
医者がゴム手袋を装着する。僕は目を閉じ、神に祈る。
僕は、今から、初対面の中年の医者に、肛門に指を、入れられようとしている。
見守る看護婦さん達。お願いだから見守らないでくれ。
  
・・・・
   
・・・・
  
・・・・
  
「痛てててててっ!!痛てててっ!!痛い!!ちょっと!!・・・くふぅ!!痛ててて!!」
表現し難い程の激痛が走る。肛門の中で医者の指が踊る。
「は〜い。痛いでしょ。これが前立腺です。結構腫れてますねぇ」
「痛いです!痛いです!」
「そうそう。痛いんだよねぇ。ほら。痛いでしょ」医者が指に力を入れる。
「あーっ!!痛ててっ!!だから痛いですって!!」
絶対、僕の反応を楽しんでいる。
「動かないで下さい」
看護婦さん達が暴れる僕を抑えつける。
一人は天井を向いた両足を抑え、一人は僕のお尻を支える。
  
「というわけであなたは前立腺が炎症を起こしているから血尿が出るんですね」
医者はいつだって冷静だ。
  
ベッドの上にはまるで強姦された後のように
下半身のみ露出して青色吐息になり横たわる私がいた。

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