2000年09月13日(水)  天ぷらうどんとナイターと。
ふと、うどんが食べたくなって
車を使わず傘をさして近所のうどん屋に行った。

うどん屋のおばちゃん何やら考え事をしている様子。
なにやらノートのようなものと真剣ににらめっこ。

「すみません。天ぷらうどん下さい。」
しばし沈黙。おばちゃん聞いてないのかも。
ナイター中継と外の大雨が地面を叩く音だけが聞こえる。
「すみません。天ぷ・・・」
「はぁい。うどん。そば。どっち?」
??。私はうどん。しかも天ぷらうどん下さいと言ったはず・・・。
「うどん下さい。」
おばちゃんなにやらイライラしてる様子。食欲が徐々に減退していく。

「うどんね。普通のでいいの?」
普通?なんだ普通って。普通の対義語を考える。
異常なうどん。いや違う。きっと素材が違う高いうどんがあるんだ。きっと。
「いや普通のでいいです。」
そもそも普通じゃないうどんの値段さえどこにも書いていない。

作ってる間、特に何もすることがないので新聞を眺める。
「お待ちどう。」
早えぇ。10分もたってないのではないか。
まぁお客が私と仕事帰りらしき髪の毛がびしょ濡れのサラリーマンしか店内に
いないのだからこんなもんか。

さぁ気を取り直して食べようって、え!!?
私のテーブルに乗っているのはただのかけうどん。天ぷらが乗っていない。
そっか!!おばちゃんは私の最初の言葉を聞いていなかったのか。
「天ぷらうどん下さい。」「うどん下さい。」「普通のでいいです。」
これだったら合点がいくぞ。そもそも異常なうどんも高価なうどんも存在しなかったんだ!

だが時すでに遅し。イライラおばちゃんに文句を言う勇気もなく
小心者の私はテーブルの上の爪楊枝入れのように
小さくなってうどんをすするのであった。


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