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あたりは暗くなっていた。

仕事はコロナの影響から、時短での出勤などで
8時間の拘束という縛りはなくっているが
それゆえに、当然だが不公平が出てきて
というかそもそも元来、不公平は当たり前にあると思っているが
それが顕著に現れ、
協力し合えていた関係なども崩れており
忙しく帰れない人、すぐ帰れる人の差が激しくなっており
それに対し、あからさまに文句を言う人、
文句を言う人に対し、上から押さえつける人なども出てきており
なんだかギスギスしているな〜と思いながら
何も文句を言っていない人々が一番、帰りが遅かったりする。

そんな中、帰りは
小雨が降っていた。

駅に向かう坂道を下るところで
すかさず、LOU REEDの「THE BLUE MASK」をかける。
1曲目、静かに「MY HOUSE」が始まった時から
小雨が頭に落ちる感触を感じながら、心が溶け始める。

井の頭線で
渋谷駅から吉祥寺へと
中央線に乗り換え
三鷹を過ぎた頃「THE BLUE MASK」が終わり
「Set The Twilight Reelinng」をかける
1曲目、歪ませたギターの音で「Egg Cream」が始まる。
もう心は溶けている。




帰りの電車は人の肩と肩が触れ合う混み具合が続いている。

一度空いている電車に慣れてしまうとラッシュが耐えられないが
LOU REEDがついているから平気。

プラスとマイナスだけだと疲れてしまう。
「正」と「誤」だけだと窮屈だ。

立体的な空間がなくなる。

音楽があるから丸ができるんだ。

空気が抜けたらしぼむ。
踏んづけられたら凹む。
当たり前じゃん丸なんだから。

投げられたり
思いっきり打たれたり、蹴飛ばされたりする。
どこかに飛んで行ってしまう。
いいじゃん。

誰かが空気を入れてくれる
バウンドする。
弾む。
コロコロコロコロ転がる。
ゴール!
一発逆転ホームラン!

自由だ。


2020年07月03日(金)

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