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タムセレクト(後半):Bob Dylan


今までも長い日記を書いてきたりしてたが
さすがに文字数制限の表示が出た時はなかった。
今回、ディランの詩を書いてたら、文字制限の表示が出て
前の日の続き

8曲目から(笑)

【 Political World:アルバム「OH MERCY」より 】

邦題:政治的な世界  参考:ボブ・ディラン全詩302編、廃墟の街のレコード店


政治的な世界に住んでいる
愛は行き場がない
人々が罪を犯す時代に住んでいる
そして犯罪には顔がない

政治的な世界に住んでいる
つららが垂れ下がっている
ウェディングベルが鳴り
天使が歌う
雲が大地を覆う

政治的な世界に住んでいる
分別は刑務所に投げ込まれる
それは独房の中で腐敗し
ひどく間違った方向へと導かれる
元の道へ戻すものは誰もいない

政治的な世界に住んでいる
そこでは慈悲が厚板を歩く
命は鏡に映り死は消滅する
最寄りの銀行へと足を踏み入れて

政治的な世界に住んでいる
勇気が過去の遺物となる所
住宅は幽霊に取りつかれ
子供を欲しがるものはなく
明日はきみの最後かもしれない

政治的な世界に住んでいる
それは私たちに見えるし触れる
だが検査するものはいない
すべては積み上げられたカードだ
私たちは確実にそれが現実だと誰もがわかっている

政治的な世界に住んでいる
孤立した恐れの都市の中で
徐々にあなたは中庸へと向きを変える
だが自分がなぜここにいるのかは決してわからない

政治的な世界に住んでいる
顕微鏡の体制下で
きみはどこへでも旅をできる
そしてそこで首を吊れる
いつだって必要なロープより多くを手にして

政治的な世界に住んでいる
回転し、のたうち回る
きみは目覚めるとすぐに奪うことを訓練されている
逃げるのはたやすく思える

政治的な世界に住んでいる
平和がまったく歓迎されない場所だ
ドアから目を背けてそこらをぶらつくか
あるいは壁に飾られるかだ

政治的な世界に住んでいる
誰もが彼女か彼のもの
骨組みによじ登って神の名を叫ぶ
だがそれがどんなものかは決してわからない


【 Wiggle Wiggle:アルバム「UNDER THE RED SKY」より 】

邦題:くねらせろ  参考:ボブ・ディラン全詩302編、廃墟の街のレコード店


くねくね、くねくね、くねくねと
ジプシー・クイーンみたいに
くねくね、くねくね、くねくねと
全身緑を着て
くねくね、くねくね、くねくねと
月が青ざめるまで
月がお前を見なすまでくねらせろ

くねくね、くねくね、くねくねと
ブーツと靴を履いて
くねくね、くねくね、くねくねと
失うものはなく
くねくね、くねくね、くねくねと
ハチの群れみたいに
お前の手と膝の上でくねらせろ

前にくねり、後ろにくねる
ここを出ていくまでくねってろよ
開くまでくねって閉まるまでくねる
噛みつかれるまでくねれ
切り取られるまでくねろ

くねくね、くねくね、くねくねと
スープ一杯みたいに
くねくね、くねくね、くねくねと
転がる輪のように
くねくね、くねくね、くねくねと
山ほどの鉱脈みたいに
死者を目覚めさせるまでくねらせよ

ハイになるまでくねれ
もっとハイになるまでくねれ
火を吐くまでくねるんだ
ささやきが聞こえるまで
鼻歌が聞こえるまで
答えが出るまで
時がくるまで
くねくね、くねくね、くねくねと
サテンとシルクみたいに
くねくね、くねくね、くねくねと
オケの牛乳みたいに
くねくね、くねくね、くねくねと
苛立たせて振り落とせ
まるまる太った蛇みたいにくねらせろ


【 License To Kill:アルバム「INFIDELS」より 】

邦題:人殺しのライセンス  参考:ボブ・ディラン全詩302編、廃墟の街のレコード店


僕らは地球を支配しているので
なんでも好きにできると考える
思いどおりにならなければ
自分で変えてしまう
僕らは自らの破滅をもたらした
始まりは月に行ったこと

近所に一人の女がいて
ただ座っている
夜のしじまに
彼女はいう
「誰が彼から人殺しのライセンスを取り上げるのか」

彼を連れて行き教え込む
やつらは人生の対処法を仕込む
そして最後には必ず
病の道を歩ませる
勲章と共に埋葬して
死体を売る、まるで中古車のように

近所に一人の女がいて
ただ座っている
丘に向かって
彼女はいう
「誰が彼から人殺しのライセンスを取り上げるのか」

破壊衝動はとても強く
男は恐怖し混乱している
そして彼の脳は
偉大なる技術により歪められる
信じるのは自分の目だけ
だがその目は真実を語らない

近所に一人の女がいて
冷気の中に座り
彼女はいう
「誰が彼から人殺しのライセンスを取り上げるのか」

君はうるさい人
君は勇敢な人
心をかき乱す人
ひどく骨が折れる
あらゆる手段を尽くす
プロットの中の俳優かも
君が手にしたすべてなのかも
明らかなエラーだと気付くまでは

淀みの池の祭壇で礼拝し
男は水に映りこむ自分の姿に満足する
人間にフェアプレイなどない
全てを欲しがる
自分のやり方で

近所に一人の女がいて
ただ座っている
夜のしじまに
彼女はいう
「誰が彼から人殺しのライセンスを取り上げるのか」


【 Your're A Big Girl Now:アルバム「BLOOD ON THE TRACKS」より 】

邦題:君は大きな存在  参考:ボブ・ディラン全詩302編、廃墟の街のレコード店


ふたりの会話は短くて親密で
ほとんど足をさらわれた
そしておれは雨の中へ
君は乾いた土地へ戻る
とにかくうまくやったさ
いまや君は大きな存在

地平線の鳥がフェンスにとまる
おれのために歌うって
見返りもなしにって
おれはあの鳥のようだ
君のために歌う
聴こえてるといいけど
涙に濡れて歌うおれの声が

時間はジェット機のように
あまりにも早く過ぎる
ああ、酷いことに
ふたりが分かち合ったものは長続きはしない
おれは変われるよ
そう誓うよ
君ができることを見るよ
おれはやり遂げてみせる
きみにもできるだろう

愛なんて単純だというフレーズを引用して
君はずっとわかってたね
おれも今頃になってわかった
ああ、知ってるよ
どこに行けば君に会えるかは
だれかの部屋に
それがおれの代償だ
君はずっと大きな存在だ

天候の変化は極端だという
だからって
心変わりして一体どうしようっていうんだい?
おれは気が狂いそうだ
痛みとともに繰り返す
心にコルクの栓をしてるみたいだ
君と別れてからというものは


【 Buckets of Rain:アルバム「BLOOD ON THE TRACKS」より 】

邦題:雨のバケツ  参考:ボブ・ディラン全詩302編、廃墟の街のレコード店


雨のバケツ
涙のバケツ
掴まえて
ぼくの耳から外へ出かけるバケツたちを
ぼくの手に包まれる月の光のバケツたちを
すべての愛を手にしたね
ぼくは耐えられる

ぼくは温和で
オーク材みたいに硬い
素敵な人々が消えていくのを見てきた
まるで煙のように
友達がやってきてはいなくなる
ぼくが必要なら
ここにいるよ

君の笑い方と指先が好き
腰の動かし方が好き
腰の動かし方が好き
きみのすべてがぼくを不幸にする

小さな赤いワゴン車
小さな赤い二輪車

ぼくはサルじゃないけれど
自分の好みはわかってる
ぼくを力強くゆっくり愛する感じが好き

君を連れて一緒に行くよ
行く時はね

命は悲しく
人生はバカ騒ぎ

うん、すべてのできることがね
やらなくちゃならないことなんだ

君のやるべきことをやるんだ
そう、だからうまくいくんだ

君のためにやるんだよ
わかる?


【 Don't Fall Apart On Me Tonight:アルバム「INFIDELS」より 】

対訳:三浦 久


ちょっと待て、出て行くのは
ちょっと待て、ドアに手を触れるのは
何を成し遂げようとしてるんだ
もう少し話し合ってみよう
外の通りには毒蛇がうじゃうじゃしているし
みんなの希望の光を見失ってしまったんだ
もはや安全ではない
法王の宮殿でさえも

そんな無茶なことを言うなよ
どうしていいかわからなくなる
そんな無茶なことを言うなよ
昨日はすでに思い出
明日は期待通りになりゃしない
だからお前が必要なんだ

そこからここへおいでよ
ここに座れよ、僕の椅子にかけてもいい
これから二人出かけるわけにもいかない
今あいてる唯一の所は、千マイルも離れている
そこまでは連れて行けない
医者だったらよかった
そしたら失われてしまった命を救うことだってできただろう
きっとこの世のために、何かいいことができただろう
渡ってきた橋を全て焼いてしまうなんてことをするかわりに

そんな無茶なことを言うなよ
どうしていいかわからなくなる
そんな無茶なことを言うなよ
昨日はすでに思い出
明日は期待通りになりゃしない
だからお前が必要なんだ

僕は会話はあまり得意じゃない
だから僕がどんな風に感じているか
わからないかもしれない
できることは山の山頂へ連れて行き
ステンレスでできた家を建ててあげるのだが
僕はまるで絵の中に閉じ込められているみたい
のどがひりひりし、鼻がムズムズしても
動くことができやしない

そんな無茶なことを言うなよ
どうしていいかわからなくなる
そんな無茶なことを言うなよ
昨日はすでに思い出
明日は期待通りになりゃしない
だからお前が必要なんだ

お前の方に歩いてくる連中は誰だろう
彼らを知っているかい?
それともケンカになりそうかい?
彼らのクソ真面目な笑い方
見抜くのは簡単だ
彼らはお前が正しく、何が間違っているか教えられるだろうか

セント・ジェームス通りを覚えているかい?
あそこまでお前はジャッキー・Pの度肝を抜いたんだ
お前はとても素敵だった
クラーク・ゲーブルでさえ足元にひざまずき
お前のためなら何でもしただろう

表面的なくだらないことにこだわることはもうよそう
策略やこけ脅しはもう沢山
みだらさやなまめかしさはもう沢山
見当違いな愛情はもう沢山
お前の腕に抱かれている泥棒人形ももう沢山
ズボンにドラムのスティックを刺した あの億万長者はどうしたのか
彼は全くあっけにとられていたよ
彼が演奏しても僕たちが踊らなかったから

そんな無茶なことを言うなよ
どうしていいかわからなくなる
そんな無茶なことを言うなよ
昨日はすでに思い出
明日は期待通りになりゃしない
だからお前が必要なんだ



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3時間かかった(苦笑)
夏休みだからできること(笑)

改めてディランの詩は
難解ではないことがわかる
とてもストレートに歌っている
とても人間的でクレバーで嫉妬心旺盛で
言葉を武器に戦う姿勢があって、高貴な魂があって
真面目で、チャーミングで、恥ずかしがり屋で
男らしくて、勇敢で、何の濁りも無い

時々わけのわからない歌があるけど
その中でもドキっとするような鋭くエグル言葉があるから
他のわけわからない言葉も何か意味があるんじゃないかって
色々思ってしまうじゃないか

それにしても、ここへ来て
こんなにもDYLANにハマるとは
俺の知らないDYLANに毎日会えている

全てはBLUESのおかげだ
THE ROLLING STONESのおかげだ
JIMI HENDRIXのおかげだ
OTIS REDDINGのおかげだ
NEIL YOUNGのおかげだ

これから、藤原さんの実家へ
福島にレンタカーで行ってくる。

去年は車の中はずっと
ジミヘンとニールヤングだった
今年は
間違いなく車内はDYLAN漬けだ




2019年08月13日(火)

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