“人の夢”
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2004年10月30日(土) ワニとハイエナ

☆なじ☆


なじは週刊少年ジャンプを読んでいた。
どう見ても彼女の傍らにえりはいないのだが、姉も一緒にそれを読んでいると認識していた。夢の世界に理不尽な事など存在せず、無理が通れば道理が引っ込む。不可能な事などないのである。
今週のワンピースの大体の話はこうだった。
マシラとショウジョウの大猿兄弟、彼らがどうやらフランキーの部下であったらしいのだ。そしてフランキーの配下の海賊はまだまだいて、フランキーには妙なこだわりがあった。配下の海賊達はそれぞれ動物にちなんだ性質を持つ者達に振り分けているのだ。当然マシラとショウジョウは”サル”(厳密には違うのだがとりあえず)のネームプレートが付けられた船に乗っている。
で、そのプレートを見ていくと「ワニ」と書かれた船があった。
一瞬、彼女達は激しく胸を高鳴らせた。
ワニといえばそりゃもうあのお人しか連想されないのである。ありえる筈がないと判っていても、鼓動のリズムは早まるばかりだ。
「まさかね!」
「うん、まさか!ないって!」
そう言葉を交わし、なじはページを開き続けていった。ドクン。ドクンドクン。まさか。そりゃワニっつったら1人しかいないけどありえんって。ドクンドクンドクン。
次のページを見た瞬間、彼女達はドバッと泣きそうになった。
4段ぶち抜きぐらいの大ゴマで、ワニことクロコダイルさんが部下の海賊を率いて船の上に立っている絵が描かれていたからである。
なじは本気で泣きそうになった。ていうか泣いた。それから2人で絶叫した(定番)。その辺に書かれたセリフを読んでみると、どうやら社長は脱走してきたらしい。マジか。マジなのか。思い描き続けてきた光景がここにあるぞ。いいのかこんなん。
それからは破竹の勢いでのフランキー部下ズの登場である。
”フラミンゴ””クマ”のプレートの船にはまんまドフラミンゴとくまさんがいる。驚くべき事だ、フランキーのアニキは七武海までも部下にしているとは。
そして”ハイエナ”のプレートの船に彼らがいた!ベラミー海賊団だ!えりとなじの絶叫はもうとどまる事を知らない!
愛するクロコダイルさんとベラミーちゃんが実は仲間でしたという事が判明し、嬉しさの余りガクガクだ、これからバンバン彼らの話を書いてやるぞと早速考えている双子。――しかし、なじはふっと思った。
ジャンプって月曜発売なのに何で今最新号読んでるんだ?今日って確かまだ木曜か金曜だよな?
だがそんな事より嬉しさの方が勝っていた。曜日の事なぞすぐにどうでもよくなった。
しかしまた。限界まで達した興奮がふとどんどん冷えていく。
待てよ、これって夢じゃないのか?
実に信じられない。彼女が見る夢の中で今まで「これは夢じゃないのか?」と疑問を感じた夢などひとつもなかった。生まれて初めての経験である。貴重だ。
「ねえ、えーちゃん、これって夢じゃないよねえ…」
思わず姉に尋ねる。こんな夢本当に初めてだ。凄い。
えりが何と答えたかよく判らなかったのだが、とにかく夢なわけないじゃんやったじゃん激ヤバじゃーん!みたいな意味の事を豪快に答えていた。それでなじの1ミリ程度残っていた理性も雲散霧散である。ああこれはトップ絵に社長とベラミーのコンビ絵を描くしかねえ!とめちゃくちゃDOKI-WAKUしだした。けれどまた夢ではないのかと微かに思う。それもすぐ消える。ああこれは夢じゃないんだ。ほんとなんだ。嬉しすぎる。こんなに嬉しい事があっていいのか。夢じゃないんだ・・・・・・


なじは温かい布団の中で寝返りを打った。
頭の中は真っ暗で、とりあえず今は多分もう朝だろうと言う事だけを認識したが、何か凄く凄く幸せな事があったような気がしていた。
なんだったっけ?えーと。…ああ!そうだ!社長とベラミーが再登場したんだ!しかもそれが夢じゃなくて本当のことで夢じゃなくて……




思いっきり夢でした・完。



小説書きたい気分だったのでなんとなくそういう文体に。
…私って…ホントに再登場してほしいんだなあっつーか…
自分で自分が可哀想になる夢でしタ☆


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