浪奴社員の呟く
DiaryINDEX|past|will
随分と前に判っていたんやけど、それを言葉にするのが、強いんか弱いんか、その辺りで戸惑ってるんよな。ワシわ云うてもまだ若いさかいな、どうしても認められんモンもあるわ。否定し続けるほうがよっぽど格好エェし、日々ラクやってのも判ってる。やから、探そうとしても、思い出される姿に語れるだけの姿を見出せんでいるんよ。きっとな、本当はあんねん、そんな瞬間がな。でも、まだ出来んねんな、記憶の捜索。
16でも、裏帳簿ぐらい判別ついた。商売屋に生まれたら、そんなん大儀ちゃう。やけど、そこすら気付いてなかった。留めの一言を押し殺したんは、きっとワシの情けやった。若造に掛けられてる情けにも、勝者の火照りを垣間見せてたから、正真正銘のアホやと思った。
20までに、それまでの変遷を知らされてたから、左前やった商売も何とも思わんかった。今までも凄くないし、守ってくれたんはアンタやなかった。それより15のワシで止まってるんが、耐えられん腹立たしさやった。何時までも騙せると思いこんでるんが、手に取るように判ってた。
21でも、怒りにまかせて手を出してしまうほど、衝動的やなかった。それまでの経験で、許すことと裏切ることとの、か細い境界線を見極めていた。ワシの騎士振りに満足げなコッチも、やっぱりアホやと思った。それでも、恩義を忘れんから、成りすましてた。
22になると、どうでもよくなった。どうせ誰でも、程好く背中の意味を知るもんやと思った。ワシの示した譲歩を、優しさなんかと勘違いして泣いていた。浅い狭い人生なんやな、と寧ろ哀れにさえ思った。涙を勝ち取ったことへの優越感なんか、微塵も無かった。元々、性質が違いすぎてた。
23になって、微かに残された信頼を容易く崩壊された。『築くのはタイヘンでも、壊すのは一瞬や』った。下衆い褒辞でワシを取り込むことに必死の山猿たちに、辟易しながら、今更の戯言を口走ることへの恥知らぬ、を嘲笑った。程無く述懐できぬと知って、罵るだけやった。まだ違いを知らずにいた。
24になる頃、浅知恵で対抗してきた。後先を忘れた蛮行に、大切なものを犯された気がした。そうされる理由は無かった。捨てることは容易い、でも守りたかった。ワシの全力で叩き潰す決心をした。本気で殺してやりたかった。それでも、アッチの土俵に上がって、ワシの相撲に徹した。
26でも、後始末は終わらんかった。ワシの秩序を捨てて、一生の恩義に応える覚悟をした。嘘吐きの証言は見え透いていた。髪が薄くなるまで考え抜いた陳述は、7つの0で買い取って貰えた。得たものは何も無くて、失ったものは目に見えなかった。唯一の支えも手放した。
29が近づいて、2つの呼び出しが思い出すように鳴っている。その理由を知らない人に、教える必要も感じなくなった。知らないことの幸せを、そのままにしてあげたいと思い始めた。本当に欲しいものが、見え隠れしているのにも気付き始めた。最大の障壁に、漸く辿り着いた。
ェ?そら創作でしょ!
|