きみはボクらの宝物
小悪魔研究所



 新しい扉

本日の担当:SHY

 Sizの入園式。
 今時、幼稚園の入園式で感動するというようなこともないと思うのだが、その感情が希薄なシチュエーションで父親はより事務的なのだと思う。
 ビデオ、一眼レフ、デジカメと3つのカメラを使い回しての撮影は、感情の入り込む余地を与えない。
 それはもう、仕事である。
 賑やかなセレモニーが終わって安堵する間に、別の思いに耽った。
 それは感動とかそういうものではなく、Sizにとって特定の時間が終わったという実感に他ならない。
 「親とだけ一緒にいる時間」の終焉。



 私はとても内向的な子供だった。
 病弱だったせいもあり、幼稚園の登園日数は極めて少なく、友達も多くなかった。
 もちろん、幼稚園は嫌いだった。
 だから、今Sizが歩き始めた新しい時間との現実的な境界線は、小学校に入ってからだったのだと思う。
 そんな風に「親とだけ一緒にいる時間」を引き伸ばした私は、Sizが4歳にしてスタートを切ったことに対し、敬意を払いたい。
 親としてのそれではなく、一対一の人として。
 私がしなかったことを、彼女はしようとしているのだ。



 入園式が終わったあと、私はSizを連れて花屋に行った。
 私の想いに相応しい贈り物をしようと思ったのだった。
 Sizにとっては生まれて初めての花束。
 彼女が大好きな「美女と野獣」の紅いバラをたくさん贈るつもりだった。

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 それでも小さな花束でSizは満足してくれたようだった。
 入園、おめでとう。

2004年04月10日(土)
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