窓のそと(Diary by 久野那美)
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滋賀へ行ったら、あじさいが咲いていた。 「あ。あじさいっ!」と思って駆け寄ったら、 雨をたっぷり吸い込んだおおきな花が、重さでそのままほとっと地面に零れ落ちてしまいそうな贅沢なおおきさの花が、りっぱな濃い緑の発破の中にうずもれていて・・。 なんとも無防備というか無計画というか・・・・。 よく見ると。隣にも、その隣にも、その隣にも、その隣にも、 重なり合うように並んでいた。
いやいや、隣の木にも、あっちの木にも、向こう側にも・・・・ よくよく目を凝らすと、そのあたり一面はたっぷりとしたあじさいでどこもかしこも埋まっているのだった。 山盛り咲いているあじさいを見ているのはとても幸せな気持ちだった。
桜とあじさいは私のいちばん好きな花。
桜とあじさいって、なんだか出会い方が違う。 桜はまず目の前に全体が出現して、おちついたらそのあと一本、一枝、ひとつの花が見えてくるのだけれど、あじさいは反対。 全体といえるほどの量のあじさいを見たことがなかったのでこれまで知らなかったんだけど、まずはひとつの(せいぜい1株の)あじさいしか目に入らない。それをめがけて駆け寄っていくので、よけいにそこだけしか目に入らない。おちついてきたら、ようやく隣の木や周りの木やあたり一面の花が見えてくる。
そして今、書きながら思ったんだけど、共通点もある。 どっちも突然現れて消えていく花。
消え方がまたちがうんだけど。 桜は、散った後はひとごとのように澄ましてるのに対して、あじさいはちりちりからからになった花の残骸を最期まで自分で抱えて逝く。
咲く時期も地味だし、花見できるような季節にも咲かないし。 あじさい・・・要領悪すぎ! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも素敵。
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