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窓のそと(Diary by 久野那美)
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春の「できごと」はわかりやすい。 それに、具体的で華やかだ。 目の前で。 何かがたしかになくなってしまったり、新しくやってきたりする。 だからそれを見ながら見送りながら、びっくりしたり、ショックだったりよろこんだり悲しんだりできる。
中にはものすごく「意外な」ものもあるはずで、 だからこその反応の大きさなんだけど、でも、なんだけど、 なぜだか、どこかで実は、ほんとうは、前から知っていたことのような気もする。 ほんとうに思いがけないことが目の前で起きたとき、それにちゃんと立ち会うことは難しい。きっと何かを見過ごしてしまうし、気づいたときにはすっかり終わってしまっていたりする。
だから、きっとそうではなくて。 それはきっと、必ず「いつか突然」に、起こるはずのできごとだったのだ。 そしてそれが今なのだ。
通りすぎるまでに「さようなら」が言えるのは、そういうときのような気がする。 春はそういうことのための季節のような気がする。
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