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窓のそと(Diary by 久野那美)
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哲学をやっている知人が言っていた。
「『哲学やってます。』って言うと、 『哲学ですか・・。いいですね。私も哲学書って読んでみたいなあと思ってるんですけど、なかなか機会がなくて。』って答えるひとの割合がかなり高いんだよ。誰にも知られてないような地味な分野だと思ってたけど、哲学の潜在的需要って意外と高いのかなあ。興味を持ってるひとがあんなにいるとは思わなかった。」
いや・・。それはちょっとどうだろう。と思った。 だって。もし誰かと話していて、 「私、パプアニューギニアの出身なんですよ。」って言われたら、きっと言うだろうと思うのだ。 「パプアニューギニア・・・。いいですね。私も一回行ってみたいです。」 だって、それがパプアニューギニアについて言えることのぜんぶなのだ。 他に言えることがあったらきっと他のことを言うだろう。
どこにあるのかも知らない。 特産物も知らない。 出身の有名人も知らない。 観光名所も知らない。 国の名前なのか、地域の名前なのか、民族の名前なのかすらわからない。 なにか質問しようにも、あまりに知識がないので質問することすら思いつかない。 あまりに無知な様子をあからさまにすることは失礼にあたるかもしれない。
でも、パプアニューギニアなこのひとには興味がある。 今、目の前ではじめて現実感を伴ったこの魅力的な単語にも興味がある。 自分が興味と敬意を持っていることを相手に示したい・・・。 乏しい知識と語彙の中から、せめてほんとうのことを伝えたい・・。 そんなとき。 「パプアニューギニア・・。わたし一度行ってみたいんですよ。」 そんな風に言うかもしれない。
だから。 <「哲学書」を一度読んでみたいと思っている<意外とたくさんのひとたち>のことも・・・、 どんなもんだろうか、と思うのだ。
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