知人から文藝春秋を借りて、私も遅ればせながら、芥川賞受賞作を読んだ。わざわざ借りて読んだからには、感想を書かねばなるまい。
まずは、金原ひとみ著「蛇にピアス」。 表現している世界が全くの異次元だったので、多少の拒否反応が出たけれど、一旦読み始めれば最後まですいすい読めた。 確かに読ませる筆力はある。 身体的な感覚の表現を的確に書き表していた箇所は思わず唸ってしまった。このように読者と痛みや性的興奮を共有できる文章に出会ったのは久しぶりのような気がする。ゆえに芥川賞受賞作なのであろう。 でも、腑に落ちない点はいくつもある。何かの伏線だと思って読んでいた箇所が全くの肩透かしだったり、ちょっと笑えるような安っぽい表現、例えば、チンコ、マンコなどの乱用で、そこのシーンだけが浮いてしまって、全体とそぐわない感じがしたところとか。 勢いよく書いた部分と、考えて書いた部分の筆致の落差が見られ、勢いがなくなるとかなりあらが目立つ文章。人生経験の少なさから来るものだろうけど。こればかりは致し方ない。若いんだから。 話の終り方が雑。読後に、はぁ?! このまま話を終わりにしないでくれ・・・といった感じ。
次に、綿矢りさ著「蹴りたい背中」 彼女の文章は、一文一文がこねくり回されてすぎていてうんざりした。まぁ、こねくり回すだけの表現力があるということなのかもしれないけど。 ただ、読み手はそういう表現をいちいち噛み砕いて読み進めていくうちに気が散ってしまって、私的には、感情移入しきれず、主題の「にな川の背中を思わず蹴りたくなる」ような衝動には到達することはなかった。 読後感は、なし。何も心に残らなかった。ただ、著者が可愛すぎる。 この作品を、例えば、ひがみの表現のうまい林真理子とか、ねじれた人間の心理描写では右に出るものがいない、乃南アサが書くと、またイメージががらっと変わるだろう。若い世代をテーマにしても、もっともっと深くねじれたものを書くに違いない。芥川賞を取ったといえども、二十歳そこそこの娘っこの文章は、まだまだ浅いよ。 余談だけど、誰かのHPの感想で読んだんだけど、にな川が憧れているオリちゃんというタレントは、てるてる家族の夏子こと、上原多香子のイメージ・・・というのがとってもわかりやすかった。
2作品とも、若くて可愛くて風変わりということでマスコミの騒ぎ方が異常すぎる。作品よりも作者のタレント性だけが先行しているので、今後熱狂が収まってからの彼女たちの新作のできが問われるだろう。 私はもう二度と読まないだろうけど。
なーどと辛らつにえらそうなことを書きちらかしちゃったけど、感想だから、思ったことを思うように書かせてくださいな。
読後、現在執筆中の文章上に、マウスをガガーとスクロールさせて一気に「削除」しちゃいました。
今日の日記は、ここまで。さてと、今から次の仕事に取り掛かりまーす。
|