2015年04月03日(金)  「個人として」と「人として」じゃあ大違い!

「憲法13条は泣ける」と教えてくれたのは、名字が同じご縁で親しくしている今井秀智弁護士。

あらためて条文を読んでみると、「あなたは大切。あなたは守られている」と国が国民一人一人に約束しているようなあたたかさがあり、わたしにとっても大好きな条文になりました。

その憲法13条が危ない!と久しぶりに会った今井弁護士が怒っていて、卓上プレゼンしてくれました。



左の写真、上が現行の13条。下が自民党の出した改正案。
見比べてみて、わたしもびっくり。
「すべて国民は、個人として尊重される」が「全て国民は、人として尊重される」に。
たかが「個」の漢字ひとつ、ですが、意味は大違い。
国家と個人の関係が、一般論にされてしまっています。
動物ではなく人として尊重されるなんて、当たり前のことじゃないですか。

どうしてわざわざ「個」を取らなくてはいけないのか。
「個」があると、何がまずいのか。
その意図に思いをはせる必要がありそうです。

また、「公共の福祉に反しない限り」が「公益及び公共の福祉に反しない限り」に書き換えられているのも大問題。
「公益」に反する幸福追求はできない、つまり、公益が個人の幸せに優先されるのです。
「最大の尊重を必要とする」も「最大限に尊重されなければならない」になっています。

コピーライターだった頃の「リーガルチェック」を思い出しました。
コピーが法律に引っかからないかどうか、世に出す前に審査をするのです。
「この美容液を使うと8日間で肌に劇的な効果があらわれる」とうたうと薬事法違反になってしまうので(化粧品会社の臨床実験で効果が実証されていても、それだけではうたえないという厳しい制約がありました)、「8日後のドラマ」と表現して、8日経ったらすごい効果があるぞとにおわせる。それでも引っかかると「8日後のドラマの予感」とさらに表現をやわらげる……。

クッションを重ねて、表現をぼかすことで、「逃げ」を作る。
憲法改正案の加筆にも、そんな意図を感じます。
何のための「逃げ」なのか。
誰に対する口実を作ろうとしているのか。

もう一枚の写真、2つの条文には空白があります。
「婚姻は両性の合意  に基づいて成立し……」は、「のみ」が抜け落ちています。たかが二文字ですが、「のみ」がなくなるとどうなるか。当事者の二人以外に「都道府県知事の合意も必要」などという突飛な法律ができたときに、現行憲法なら「違憲」と言えますが、改正案では「合憲」になってしまうのです。

そして「公務員による拷問及び残虐な刑罰は   これを禁ずる」では、「絶対に」が抜け落ちています。「絶対に」を取ることで「やっちゃう可能性」を許容できてしまうのです。

「のみ」を取ったからといって悪法ができるとは限らないし、「絶対に」を取ったからといって公務員の拷問が許されるとも限らない。
でも、だったらどうして、わざわざ取るのか。

他にも現行憲法と改正案を注意深く読み比べていると、ちょこちょこと削られたり足されたりがありますが、改正案だけを見せられても、どこが変わっているのか、何がまずいのか、わかりません。
わたしも今井弁護士の解説があったから、気づいたことがたくさんあるのですが、
「憲法改正がいいとか悪いとかいう前に、まず今の憲法を読んで欲しいんですよね。だって、憲法は国民の宝なんですから」と今井弁護士。
わたしたちが生まれたときから当たり前のようにあった日本国憲法。
その宝物を宝の山にするか、宝の持ち腐れにするかどうかは、国民次第。
大好きな13条が別な意味で「泣ける条文」にならないように。
一人でも多くの方に、憲法を読んでほしいと切に願います。

>>>自由民主党 日本国憲法改正案
>>>自民党憲法草案の条文解説

また、今井弁護士が作った「Kenpo!map(憲法マップ)」は、独裁者が支配する 「暗黒島」を舞台に、憲法の意味を物語仕立てで理解できるすぐれもの。もともとは今井弁護士の事務所の忘年会のおみやげだったというのがお茶目ですが、子どもはもちろん大人が憲法の精神を理解する道しるべにも。



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