2009年09月03日(木)  IKEAのある暮らし

IKEA(イケア)の名前を知ったのは1998年のことだから10年以上前になる。映画祭と同じ会場で開かれるカンヌ国際広告祭でクセのあるCMを連発している家具屋として記憶した。あちこちの国にあるらしく、国によって読み方が「イケア」だったり「アイケア」だったりした。先日ビデオで観たアメリカ映画『理想の恋人.com』では「アイケア」と発音していた。

そんなイケアが日本に上陸したとき、わたしはまだ広告会社に勤めていて、イケアのローンチ広告の競合プレゼン準備を近くのチームがやっていた。あのコンペには勝ったのだったか負けたのだったか。イケアと聞くと、コピーライター時代の記憶をくすぐられる。

『パコダテ人』で子役だった前原星良ちゃんの母、せらママから「今井さんは絶対好きよ! ぜひ行きましょう」と誘っていただいていたイケアに、ついに行く機会を得た。捨てても捨てても物があふれているわが家にこれ以上雑貨を持ち込んではいけない、と心に言い聞かせて出かけたものの、いざショールームに足を踏み入れると、「かわいい」「ほしい」を交互に繰り返し、気がつくとあれもこれもと手に取ってしまう。「こんな色、他にないよね」と夢中にさせる色使いの罪なこと。これでお値段が高いとブレーキになってくれるのだけど、「これぐらいなら」と財布の紐を緩めさせる絶妙な価格設定。「子どもが小さいうちに、こんなベッドカバーがあったら」なんてせらママが言うものだから、そうよねえと手が伸びる。

カフェテリア形式のランチがこれまたそそられるメニュー。広い店内を歩き回るので、空腹が何よりのおいしさ増強剤に。元気を盛り返して、また歩く。おひさまの形のランプシェード、写真を入れられる戸棚のドア、お絵描き用のロール紙ホルダー……面白いなあと心惹かれるけれど、大きい物は我慢我慢。結局、カーテンとベッド&枕カバーと細かいものをちょこちょこ買って、一万円でおつりが来た。買い物というより、物が手元に残るレジャーの感覚。

わたしが行った新三郷店はJR武蔵野線新三郷駅から徒歩数分の距離。すぐ近くにはCOSTCO(コストコ)があって、どやっという迫力の業務用サイズの商品群を受け止めるカートは、通常の四倍はあろうかという大きさ。座布団大ピザが1400円也。サイズ感覚が狂って、ちょっとしたミクロアドベンチャー気分。金銭感覚もおかしくなりそう。ここではぐっと我慢して、娘のたまにパンツと靴下を買うにとどめた。ハーシーズのチョコレートがけプレッツェルに惹かれたけれど、1キロを超える大袋を食べきれる自信はなく、食べ切れたとしたらそれはそれで怖いので、断念。

帰宅して、早速わが家をイケアで彩る。カーテンは長さは一種類で、すそをマジックテープで調節する。こういうところが安さのヒミツなんだろう。わたしが買ったものはすそに模様があるので、「お好きなところでカットして縫い直してください」とのこと。そんな芸当はできないので、長いまま斜めに垂らして使うことに。洒落た天蓋風になり、物置となっているベッドの上のごちゃごちゃ隠しにもなり、一石二鳥。カーテンひとつで部屋の印象ががらりと変わったのには、びっくりした。たまもかくれんぼができて大喜び。「これいいじゃん!」と柄も気に入った様子。


カーテンレールには色とりどりのリボンでくくりつけ、裾にはポップな色づかいの動物たちがぞろぞろ。

ちょうど書き上げたフリーペーパーbukuに連載中のエッセイ「出張いまいまさこカフェ」13杯目に添える写真の背景にも動物柄を借りる。邪魔をしに来たたまの手もアクセントに入れた。今回のタイトルが「母と子と映画」なので、これはこれでよし。小さな手と動物イラストで子ども感が高まった。

カーテンと同じ動物柄の枕&掛け布団カバーも購入。「たまちゃんのおふとん」と中に入ってごろごろ。たまが生まれた頃、白いレースじゃなくて絵本の挿絵みたいな子ども部屋用のカーテンや布団はどこで売っているんだろとネットで探し回ったけど、そうか、イケアにあったのか。

ランチョンマットや食器も楽しい色づかい。値段は予想した半値ぐらい。だから、お友だちの分も二つずつ。

袋ものの口を止めるクリップが30本で99円也。底がマグネットで中身が見える小物入れ(こんなのが欲しかった!)は3つで1480円。おたまの絵が壊れたので、新しいのを探してたら、パスタ用や平たいのやフライ返しとセットになって698円。持ち手つきのざるも498円。物はしっかりしていて、安っぽさは感じさせない。

こうなると、あれもこれも買いそろえたい、買い替えたい衝動にかられてきて、帰ってくるなり「次はいつ行こう?」とうずうずしている。

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