2007年12月12日(水)  万葉LOVERSのつどい


審査員を務めたNHK奈良主催の脚本コンテスト「万葉ラブストーリー」募集。選ばれた佳作三本のドラマ完成を記念し、披露試写と授賞式をを兼ねたイベントが開かれた。9月の審査会ぶりに奈良へ。会場の奈良100年ホールの立派さに驚いていると、入口に受賞された女性三人の姿が。受賞の喜びが華やいだ空気となって伝わってくる。

ホールで軽く打ち合わせし、楽屋(初・今井雅子部屋が用意されていた!)でメイキング用インタビュー収録。一人でお弁当は淋しいので、アナウンサーの島田さん安井さんのいる控え室へ。審査員の万葉学者・上野誠先生や受賞の三人も加わり、開演前に打ち解けた雰囲気に。

二時開演。第一部の万葉トークショー。上野先生、島田アナ、安井アナと四人で「万葉・男心・女心」を語る。壇上から見ると、400人収容のホールが半分弱埋まってる感じ。万葉集の宣伝マンを自認する上野先生の軽妙で絶妙なリードで、あっという間に45分。歌の解説は先生におまかせし、わたしは脚本家の視点から自由に話をさせてもらった。感情が動いて歌が生まれ、歌がドラマを喚起し、詠み手の想いが読み手に受け継がれ、万葉の歌は現代を生きるわたしたちに受け渡された。息の長いリレーだ。その最終走者たちが新たなストーリーを紡ぎ、映像にしてしまった。1300年前の作者たちは時空を越えたコラボレーションに驚いているだろう。終盤、「別れ話の時に何を食べるか」という話題がいちばん盛り上がった。上野先生が「脚本を書くときには食べるものも想定するのか」と振ってくださったのだったか、「鍋はラブラブのときしか食べない」「嫌いな相手に鍋奉行されたら余計に腹が立つ」といった話になったが、わたしの意見は「無言の男女の間に煮えくりかえる鍋があれば、二人の気持ちを代弁できる」。夫婦なら、新婚旅行のときに食べたメニューでもいい。妻はよく覚えているが、夫は覚えていない、という心のずれを表現できる。

第二部は授賞式。地元・奈良出身の井筒和幸監督が、駅前にたくさんあった映画館で映画をよく観た、など故郷の思い出話を披露。受賞三作品の脚本を手にした講評に、「あの丸めた持ち方、いかにも読み込んでる感じが出て、プロだなあ」と上野先生は感心。監督には畏れ多くて声をかけられなかったが、上野先生は「伊勢物語の筒井筒の井筒ですか」と話しかけられていた。わたしは自分がNHKのコンクール出身であることを話し、はじめて脚本が形になる感動を次の作品を生む力にしてほしいと励ましつつ、お手柔らかにと締めくくった。それほど受賞作のレベルは高く、わたしが応募したとしても選ばれた自信はない。それでも大賞が選出されなかったのは、傑出した一本がなかったから。ドラマ化しやすいまとまりのある脚本であったが、発想も想定内にまとまっていた感があった。

続く第三部でドラマの完成披露試写。昨夜まで作業していたそうだが、スケジュールや予算の制約を感じさせない良質のドラマにしあがっていた。これなら全国放送に堂々とかけられる(来年1月11日にメイキング、18日に本編を奈良地区で放送。その後、関西地区でも放送予定。さらに、できれば全国放送もしたいとのこと)。計算外だったのは奈良の秋の素晴らしさ。審査の段階では説得力に欠けると感じた場面が、映像になると、化けた。ロケーションについて勉強不足だったことを反省するとともに、絵になる奈良を再発見。上映後、再登壇した受賞者が脚本作りの秘話を披露。シナハンされていたり実体験に基づいていたり、血の通ったストーリーが産まれた背景を知ることができた。終焉後のふれあいミーティング(視聴者とNHKが意見交換をする場のことをこう呼ぶらしい)では、客席にいた応募者の一人から「負けて悔いなし」という声が寄せられた。脚本家、万葉集、奈良、それぞれの可能性に光を当てる万葉ラブストーリーコンテスト、次回実施も検討中とのこと。奈良名物として根づいてほしい。

大学の教育学部の同級生、高田君からの電話で舞い込んだ今回の仕事。上野先生の東京での仕事をマネージメントされているアシスタントリサーチャーさん(苗字は今井さん!)も大学時代の同級生。「同級生シリーズですね」と冗談を言い合ってたら、打ち上げのミニ寿司パーティの後、受賞者の一人、西村有加さんが「今井さんって高校、三国丘ですか」。なんと、高校三年のとき、隣のクラスにいたことが判明。言葉を交わしたことはなかったけれど、共通の友人がいて、なんとなく覚えていたとか。こんな偶然あるんやねえと一同驚き、まさしく同級生シリーズとなった。

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