2007年06月06日(水)  わたし好みだらけの『そのときは彼によろしく』

『ジェニファ 涙石の恋』で隆志を演じた山田孝之さんが主人公で、その少年時代を『子ぎつねヘレン』の太一役だった深澤嵐くんが演じている『そのときは彼によろしく』を、これは観ないわけにはいかない、と観る。劇場は、「出張いまいまさこカフェ」を連載中のフリーペーパーbukuを置いている池袋のシアトルダイヤ。さらに本編にはアクアプランツ、秘密基地、プリズム、チョコレートデニッシュ、バースデーケーキ……とわたし好みのものが次々と登場。懐かしさと切なさをかきたてるモチーフをこれでもかと持ち出すのは、『いま、会いにいきます』と同じく原作の市川拓司さんのテイストなのかもしれない。

中でも、森の中に打ち捨てられたバスの秘密基地には、解体した家を基地にして遊んだことがあった子ども時代を思い出して、わくわくした。そこは大人の世界と切り離されたルールがあり、大人の時間とは違う時が流れた世界で、そういう場所を持っていることに得意になっていた。自分たちにしかわからない宝物があり、ずっと友だちでいられることを願って「永遠」なんて大人びた言葉を口にし、はるか未来に思えた十年二十年先の約束を交わしたりした。いちばんよく遊んだ同い年で隣の家の女の子・佳夏は、今はもういないから再会することは叶わないけれど、「物理学の教科書にも載っていない強い力」が存在し、会いたいと強く願った相手には会える、というメッセージはしっかりと心に届いた。

少年時代の深澤嵐くんと青年時代の山田孝之さんのつながりを見るのもうれしかった。水中の森が地上の森にシンクロする美しいオープニングも、真っ白な病室に祈りのように増えていくアクアプランツのガラスボトルも、奇跡を信じさせてくれるようなストーリー展開もわたし好みだったけれど、息もつかせず立て続けに好きなものを並べられると、張り切って食べ過ぎたビュッフェのようになってしまい、余韻を味わうよりもおなかいっぱいになってしまった。映画はさじ加減が難しい。

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