2007年02月25日(日)  マタニティオレンジ83 風邪の置き土産

噴水みたいに母乳を吐かれて仰天し、小さな体を折って咳き込む姿に涙を誘われ、娘のたまのはじめての風邪には、これまでになく焦ったりオロオロしたりさせられた。裏を返せば、それまでがあまりにも順調で楽しすぎていたのかもしれない。熱は平熱のままだったのだけれど、鼻と喉が詰まって息するのが苦しそうで、寝ている間に呼吸が止まったらどうしようと心配になった。新生児の頃によくやったみたいに、鼻の前に手のひらを近づけて、吹きかかる息を確かめたりした。もともとわたしの風邪がうつったのだけれど、看病しているうちにこちらの身が弱りそうだった。

一週間経ち、たまはすっかり回復。治ってみれば、風邪のおかげで得られた収穫に目を向ける余裕ができた。診察も薬もタダの乳児保険証のありがたみをつくづく実感。近所の小児科がとても頼りになるいいお医者さんだということも確認できた。その病院の2階では病気の子どもを預かる病児保育をやっている。病気のときに預けることに後ろめたさもあったけれど、仕事の都合で止むを得ず一日お願いしてみた。ベッドが並んでいるだけの殺風景な空間を想像していたのだが、行ってみると、そこは保育園のようなおもちゃと明るい色のあふれる楽しげなお部屋。その日は定員四人のうち三人がインフルエンザの子で、他の三人と部屋を分けたたまは20平米ほどの広々した部屋と保育士さんをひとり占め。わたしが預けた7時間の間におむつを4回替え、ミルクを2回与え、薬を1回飲ませ、熱を3度計り、診察と鼻の吸引までやってもらえる至れり尽くせりぶりだった。家族以外に預けるのははじめだったけれど、この日を境にたまの体調は一気に回復。夜にはひさしぶりの寝返りを決めた。区の補助に支えられているのだと思うが、朝8時半から夕方5時半まで見てもらえて保育料は3000円。人の手を借りられるところは借りればいい、プロにまかせられるところはお願いすればいい、と身をもって学んだ。

シロップ薬は離乳食をはじめる前の格好のスプーントレーニングになったが、空いた大小二つのプラスチックボトルは薬瓶の役目を終え、お風呂のおもちゃに就任。湯船にぷかぷか浮いて、手を伸ばすとするりと身を交わし、魚みたいに手の中で踊ったり跳ねたりする。予測のつかない動きを見せるので、たまは夢中になって手を振り回し、追いかけ回している。その元気な姿を見て、健康がいちばん、としみじみ思えるのは、風邪が置いて行った何よりの土産だろう。風邪の間はお風呂もおあずけだったから、お風呂に入れることにも感謝してしまう。あたり前のことをあたり前にできる日常の中に幸せはあるのだ、と不自由な風邪週間のあとの平常を味わっている。

2006年02月25日(土)  半年ぶりの美容院
2002年02月25日(月)  信濃デッサン館

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