2003年11月08日(土)  竜二〜お父さんの遺した映画〜

ストレイドッグ第16回公演『竜二〜お父さんの遺した映画〜』を観る。生江有三氏のノンフィクション『竜二 映画に賭けた33歳の生涯』(幻冬舎刊)を原作に森岡利行さんが脚本・演出を手がけている。竜二というのがモデルとなった男性の名前だと勝手に思い込んでいたが、役者であり、『竜二』をはじめ幾つかの映画の脚本を書いた金子正次さんの人生を描いた話だった。自分が映画で主役を張るために脚本を書くようになったが、売り込みをかけてもなかなか色良い返事はもらえない。脚本を買われても、「主役は客が呼べる役者にしたい」と言われたりする。それでも、「自分が主役で無ければ意味がない」とこだわり、病魔に冒された体に鞭打ち、資金難の中で『竜二』を完成させる。だが、『竜二』が公開されて間もなく、彼は33歳で命を閉じる。それが20年前の11月6日だった。昨年の公演の再演である今回の公演は、命日に幕を開けている。■役者、製作者を問わず、映画関係者に金子正次ファンは多いらしい。好きな道を突き進む生き方にかっこよさを感じるのだろう。去年は舞台の初演と同時期に同名の映画が公開された。会場には映画の出演者も何人か見えていた。今日の舞台とあわせて、映画『竜二〜お父さんの遺した映画〜』と『竜二』も見てみたくなった。■いつものように打ち上げに参加させてもらう。竜二の相手役だったシェイプUPガールズの中島史恵さんを紹介される。年下なんだけど、姉御肌のカッコいいお姉さん。「この間お会いしましたよね?」と言うと、首をかしげられる。10ガールズの福地香代さんと勘違いしていた。「すいません、オスカーでガールで髪の長い美人って覚えていたので……」と言い繕っていると、「オバチャン、もうわかったがな」と木下ほうかさんに突っ込まれる。『パコダテ人』を観た森岡さんにわたしを紹介してくれたほうかさんは、映画版『竜二〜』にプロデューサー役で出ている。『料理昇降機』に出演していた古川康大さん、工藤剛さんは、わたしの日記の感想を読んでいて、「あの後、ファンの方がオリジナルの英語脚本を届けてくれました」と報告してくれる。観に来ていた蛍雪次朗さんにあたたかい言葉をかけられ、観劇で涙ぐむ女優さんも。今夜も元気をもらって帰る。

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