2002年08月26日(月)  『ロシアは今日も荒れ模様』(米原万里)

■米原万里さんの『ロシアは今日も荒れ模様』を読み終えた。『不実な美女か貞淑な醜女か』で読売文学賞、『魔女の1ダース 正義と常識に冷や水を浴びせる13章』で講談社エッセイ賞を受賞し、最近では本業のロシア語通訳よりもエッセイストの顔が知られているこの人の文章は、ただものではない。ウォトカ(ウォッカではなくてロシア通はウォトカというようだ)を愛してやまないロシア人のこぼれ話で笑わせてくれたかと思うと、核の話を真面目に語る。funでもありinterestingでもあり、実に面白かった。「ロシアとロシア人は退屈しない」とは米原さんの言葉だが、最後まで読者を退屈させないのは筆の力だと思う。■ロシアについて書かれたものを読んだといえば中学校の地理や高校の世界史の授業ぐらいなもので、世界情勢にも疎いわたしは、あの広い土地にどんな人が住み、何が起きているのかほとんど把握していなかった。「ロシア=暗い、寒い、怖い」というイメージが先行していたのが、「ロシアって面白い。もっと知りたい」と好奇心と親しみがむくむくと膨れ上がったのだから、本の威力はすごい。ロシア人が小咄好きでユーモアにあふれているなんて想像したこともなかったが、ところどころに登場する小咄は、実に気がきいていて、人間をよくとらえたおかしみがある。先に読んだダンナは「世の中に醜女(ブス)はいない。ウォトカが足りないだけだ」という小咄をいたく気に入り、最近ますます積極的に酔っぱらうようになった。ロシアに興味のある人にも全くない人にもオススメの一冊。ただし、電車の中での噴き出し笑いには要注意。■余談だが、すみからすみまで面白く読んだこの本、残念ながら一部読み損なってしまった。本屋でもらった栞にガムのサンプルが張り付けてあり、早速はがして試したら、栞に残っていた両面テープがページに張りついてしまったのだ。おそるおそるはがしたが、9文字が犠牲となった。

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