2002年04月08日(月)  シナリオに目を向けさせてくれた「連載の人」

シナリオを書きはじめる前に、ひとりだけ、テレビドラマのディレクターにお会いした。当時『公募ガイド』に連載されていたドラマの制作現場のエッセーを愛読していたのだが、その中に会社のメディア部にいるS氏の名前が出てきた。本人に聞いてみると、かつてテレビ局でプロデューサーをしていて、連載のディレクター氏とは、よく組んで仕事をしていたのだと言う。「そういや近々会社に遊びに来るから、会う?」と言われ、ほどなくして「連載の人」との対面が実現した。文章からイメージを受けた通りの人で、頭の回転がとても早く、それに負けないぐらい口の回転も早く、最近考えついた新しいドラマの企画(それもまったく違うストーリー)を次々と披露してくれた。「公募ガイドの原稿、下書きされてないですよね」と前から思っていた感想を口にしたら、「なんでわかるの?」と驚かれた。ほとばしる言葉を直球で投げてくるような、エネルギーにあふれた人だった。

その連載は一年で終ってしまったが、数年後、同じく公募ガイドで新井一先生の誌上シナリオ講座がはじまったとき、「連載の人」の話を聞いたときの何とも言えないワクワクした気持ちを思い出した。シナリオを書きはじめ、今も書き続けているのは新井先生のおかげだが、シナリオに目を向けさせてくれたのは「連載の人」だった。彼にとっては昔の仕事仲間と再会したついでに会ったにすぎない10分間は、わたしにとっては、人生を変えるほどのドラマチックな時間だった。シナリオライターいまいまさこの種を蒔いてくれたその人、鶴橋康夫さん演出の新ドラマ『天国への階段』第一話を見ながら、人と人との巡り合わせの不思議を思う。

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