2001年09月23日(日)  『パコダテ人』ロケ1 キーワード:事件

飛行機乗り遅れ事件 ■待ちに待った函館ロケ見学!本当はもっと早く行きたかったのだが、プロデューサーの三木さんいわく「脚本家がロケ行っても、やることないですよ。最後に顔だけ出したらええやないですか」ということで、三木さんとともにクランクアップ三日前の出発になった。前日になって「こっち(東京)の仕事が山積みで行けなくなった」と電話あり。「方向音痴な私を一人で行かせると、函館に着きませんよ」と脅しをかけ、何とか仕事の目処をつけてもらう。待ち合わせは七時二十五分羽田空港AIR DOカウンター。あろうことか、十五分も大遅刻してしまう。「僕がおらんかったら乗れてませんよー」とチェックインしておいてくれた三木さんからチケットを受け取る。■AIR DOはパコダテ人の協賛企業。札幌(千歳)までスタッフとキャストを無料で運んでくれている。このタイアップを実現させた名プロデューサーとともに機上の人となる。


限界ネギリ事件 ■千歳からは陸路で函館へ。三木「レンタカーは二人やと高いし、バスは安いけど時間かかるし、思いきって電車で行きますか。自腹やったら千歳から飛行機もありますけど」 わたし「(どこが思いきっとんねん!)じゃあ電車で」 こっちの人は汽車と呼ぶようだ。千歳駅の窓口で 駅員「指定にしますか?」 三木「(すかさず)自由席で!」 わたし「ケチりますねー」 三木「これが仕事なんです!」■函館本線に揺られること3時間余り。内浦湾(噴火湾)に沿って線路が走っているので、左手にずっと海が見える。のどかなローカル線の旅。しかし鼻がグズグズ。機内が乾燥していたのか、くしゃみと鼻水が止まらない。車両のトイレからかっさらってきたトイレットペーパーで鼻をかみながら行く。三木「汚いですねー。
炎メラメラ事件 ■函館は快晴。風さわやか。ゴキゲンなお天気。寒い寒いと聞いていたのに、セーターだと暑いぐらい。黒いマントを着込んだ三木さんは、尾行探偵のようで怪しい。駅からタクシーで今日のロケ地、『緑の島』をめざす。運転手「緑の島で何かやってるんですか?」 わたし「映画の撮影です」 三木「パコダテ人って知ってます?」 運転手「ああ。新聞で見ました。札幌の何とかってのが出るとかいう……」 わたし「(大泉さんのこと?)」 三木「(目がキラリ)」■緑の島の入口でタクシーを降り、制作担当のタージンのおでこを目印に撮影隊を見つける。エキストラの出演者がリハーサルをしているところ。火を使う撮影なので、一発勝負だ。火がつけられ、カメラが回る。ほんとはカメラが回ってから火をつけるはずなのだが、なぜか逆だった。「いきなり燃えてんだもんなあ」と撮影監督の浜田さん。でもそこはベテランの余裕で、使いどころはフィルムにしっかり納めてある。今日の撮影はここまで。エキストラにお礼のタオル(パコダテールのキャラクター入り)を手渡し、解散。
関西人攻め事件 ■ボランティアスタッフの大内裕子さんの運転で中華料理『汪さんの店』で落としてもらい、前田監督、三木さん、浜田さん、照明の松岡さん、アシスタントプロデューサーの橋内さんと昼食。おっと、北海道出身の浜田さん以外は全員関西出身だ。わたし「せっかく東京人になりすましてたのに、前田さんと三木さんに出会って大阪弁しゃべるようになって、化けの皮が剥がれたんですよー」 浜田「思いっきり剥がれてるよ」 松岡「初対面だけど、関西人って一発でわかったよ」 わたし「(ゲッ)」■この店の自慢は『かけチャーハン』。炒飯に八宝菜のようなものがぶっかけてある。各自のラーメンとは別に、かけチャーハンを分け合う。前田「この皿、きくらげ入ってへん」 浜田「気苦労(きぐろう)は多いけどな」 わたし「(この人も、おもろいこと言う)」
函館名物双璧事件 ■宿に戻る車に乗りきれないので、荷物だけ運んでもらい、いやがる三木さんを無理やり散歩につきあわせる。函館港イルミナシオン映画祭での『ぱこだて人』の授賞式以来、二年ぶりの函館。西波止場のラッキーピエロをめざす。ブランコ席でチャイニーズチキンバーガーを食べるのだ。が、店の前まで行列があふれていて、とても入れない気配。ふと見上げると、もうひとつの函館名物、焼き鳥弁当の巨大看板が目に入る。ラッキーストアとハセガワストアが並んで建っているのだった。面白いので写真をパチリ。(デジカメなので、ほんとはそんなシズル音はしない)。「気ぃ済みましたかー」と三木さんにうながされ、市電に乗って湯の川温泉へ。三十分ほど揺られ、うとうとしてしまう。
連続裁縫事件 ■ロケ隊の宿は、協力の『湯の川観光ホテル』。一階の機材&衣装部屋を訪ねると、機材の奥に、ハンガーに掛けられた衣装がずらり。色と柄の楽しさに思わず、「わーかわいい!」と駆け寄る。衣装の森の奥には、ミシンを踏む衣裳デザインの小川さんの姿が。今回の衣裳には小川さんが二人(久美子さんと佳純さん)いて、「小川さん」「佳純さん」と呼び分けられている。小川「明日撮るシッポが欲しいって、さっき言われて、急いで作ってるのよ」 わたし「急な話ですねー」 小川「ううん、もう、毎日なの」 衣装をそろえてハイ終わりとはいかないらしい。それにしても、どれも本当に着たい服ばかり。頭の中にあったイメージが形になって目の前に現れている。魔法みたい。
衝撃の二代目事件 ■橋内「ソフトクリーム食べる人?」。一斉にスタッフの手があがる。ここのソフトはロケ隊に大人気で、みんな朝から食べているという。三木さんのおごりで部屋にいた一同にふるまわれる。おいしいとこでは、ちゃんと気前のいいとこを見せるのだ。■ソフトクリームをなめながら、ビデオでラッシュを見る。時間にして二時間分ぐらい。自分の書いた脚本が立体になって動いているのを見る、はじめての体験。あの台詞をこんな風に言ったのか、このシーンはここで撮ったのか、なるほどねーといちいちうなずきながら見る。台本から変わっているシーンや付け足されているカットもあるけど、全部いい方向なので、新鮮。ひかる(宮崎あおい)は期待通りいいし、みちる(松田一沙)は赤毛のバクハツ頭がすごく似合っていて、この二人は思い描いていた姉妹そのもの。お父さん (徳井優)、お母さん(松田美由紀)と四人で映っていると、本物の家族みたいに見える。函館スクープの編集局長(木下ほうか)と『清く正しく美しい函館を守会』会長の上原光子はキョーレツ。エキストラの演技も笑える。いい意味で裏切られたのは若社長。どちらかというと情けない役なので、こんな男前をキャスティングするとは思わなかった。しかし二枚目が苦悩している姿は笑えることを発見。わたし「この役者さん、誰?」 橋内「安田顕さんです。MANHOLEの主役の」 大泉さんと同じく超人気劇団TEAM−NACSのメンバーで、「ヤスケン」と呼ばれている人気者らしい。TEAM−NACSはメンバーが5人いて、全員出演(あと三人は函館スクープ社員役)しているという。
観光客びっくり事件 ■「いやー最高だったよ」という声に振り返ると、本屋のシーンでかなり笑える演技を見せてくれた撮影助手の葛西さんがカメラを担いで入ってきた。街の実景を撮ってきたそうで、ゲリラ的に「ハ」に「○」をつけたり銅像にシッポつけたりの撮影だったらしい。撮影隊のみなさんは、やたらガタイがデカイ。■ロビーに出ると、ひかる、みちる、オーディションで選ばれた広子(黒岩まゆ)と保奈美(澤村奈都美)が肩を組んで「ちぃーっす!」と歩いてきた。仲良し四人組という感じ。見ていて微笑ましい。
パワフル女優事件 ■夕食は監督、三木さん、お母さん役の松田美由紀さん、アシスタントプロデューサーの石田さん、橋内さんとともにホテル内の和食屋へ。メインと総菜二種類を選べる。寿司、コロッケ、湯豆腐の組み合わせにした。監督「松田さんはテイクごとに全然違う演技しはりますねえ。全部いいんですけど」 松田「あたしね、前の演技を覚えてないの。一回一回新しいのよ」 話す内容もピンポン玉みたいにポンポンとジャンプする。派手な身振り手振りつきでトラピスト修道院に行ってきた話をしてくれた。修道士さんが松田さんのために歌を歌ってくれたそう。喫茶『はまなす』に場所を移しても、話題は尽きない。本当にエネルギッシュでかわいい人。
押し入り事件 ■部屋に戻る途中ですれ違った衣裳助手の佳純さんが三木さんに「1313(号室)で飲んでます」と声をかけたのを耳に留め、一人で乗り込むことに。「すいません。今日着いた作者の今井と申しますが、ご一緒していいですか」とおそるおそるドアを開けると、浜田さんが「入りな。俺が紹介してやるよ」と手招きしてくれた。メンバーは松岡さん、小川さんの他に、今日はじめて会うヘアメイクの小沼みどりさん、スチールの石川登拇子さん、シネマネーの団員専用サイトを書いているライターの岩村千穂子さん。浜田「みんなのよりどころはホン(台本)なんだよ」小川「わからなくなると、ホンに戻るの」と、ありがたくも身の引き締まるお言葉を先輩方からいただく。懐かしい映画の名前が「手掛けた仕事」として次々出てくる。ああ、映画の現場に来たんだなと実感。この場所に自分が居られることがうれしい。
タイタニック事件 ■スタッフの部屋は、ツアーの添乗員が泊まる部屋らしく、タイタニックにたとえて「キャストは一等船室、スタッフは二等船室」と呼ばれている。部屋のありかもホテルの地図には描かれていない。修学旅行生と秋の観光客でにぎわうこの季節、部屋を確保していただけただけでも有り難い。キャストの関係者が泊まろうとしたら予約がいっぱいだったというから、他のお客さんを断ってロケ隊を収容していただいていることになる。湯の川観光ホテルさんの協力に感謝(フロントの方もとても丁寧)。共同の洗面所で誰かが歯を磨く音が、薄いドアを通り抜けて聞こえる。学生時代に住んでいたアパートを思い出して、なつかしい。十一時過ぎ、大浴場でゆったり温泉につかり、就寝。

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