終わりなき戯言
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2008年03月27日(木)
白昼夢
 死んでいるのかと思った。
 窓は開いているのに、風はない。太陽の明るさが余計に影を際立たせる。緩く開いた掌が、力無く身体の上に置かれていた。
 夢かと思った。いつも見る、終焉の夢。
 しかし瞳に映る世界は眩しいほどに色付いていて、これが現実だと否応にもルックに知らせた。それなのに自分の呼吸さえ聞こえない程の無音が耳の奥まで響いてくる。自分が息をしているのかすらわからなかった。
 寝ているだけだと、やっと自分に言い聞かせた。そうだと頷きながら、触れることが躊躇われた。もしこの肌が冷たかったらどうしようなどと一瞬だけ考えた。
 眠っているだけだ。寝台の上で。当たり前のことだ。
 言い聞かせながら、死体を目の前にしているような錯覚に襲われる。
 立ち尽くすだけで、何も出来なかった。

 君は静かに運命を受け入れる。
 それだけは現実でも変わらないのだろうから。



 風が掠めた気がした。
 目を覚ましてもそこには静まり返った空間があるだけで、眠る前と何一つ変わらなかった。
 ただ、微かにカーテンが揺れていた。
「・・・・・・ルックさん・・・?」
 何故、そう思ったのか。ゆるゆると重い身体を起こし、窓の外を見る。風は吹いていなかった。
「・・・シロ」
 いつも傍にいる、家族の名を呼んだ。確か子供達の遊び相手として何処かに駆り出されている筈だった。手を伸ばしても馴染んだ毛並みを確かめることは出来ない。
 それ以上言葉が出なかった。
 無性に一人だと思った。穏やかな陽気が微温湯のようで、ぼんやりとそこに居ることしか出来なかった。最初に感じた気配を探しに行くことも出来ず、只管に世界が止まっているように見えた。
 これは夢の続きだろうか。
 そう思いながら再び目を閉じることも出来ずに、キニスンは静寂に耳を傾ける。

 証明はいらなかった。
 風が吹けば、それだけで良かったのに。


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ルクキニ小話。
SKIN by YUKIE