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2008年01月28日(月)
本当はその言葉が欲しかっただけ
「行こうか?」顔を上げれば柔らかな微笑があった。急かすのでもなくただ問い掛けられた言葉は、フェイを現実に戻すのに十分だった。濃い霧の中、足元は頼りなく揺れている。その下の波に合わせて船底が小さく鳴いた。 「・・・アルド」 「何、フェイさん」 「怖く、ない?」 岩場の陰になって周囲から見分け難い場所にも関わらず、そこからは敵方の要塞が圧倒的な存在感を持って仰ぎ見れた。 エルイール、決戦の地。そこに何が待っているのかフェイには見当も付かない。果たすべき役割はしっかりと頭の中に入っていたが、霧に囲まれた景色のせいか、内心はどこか漠然としていた。 漠然と、怖かった。 「少し、怖いかな。でも皆がいるから大丈夫だよ」 「こんな時にも・・・笑うんだね」 「え?そうかな?ああっ、もしかして気に障ったかな!?」 「ううん・・・いいなって、思った」 首を廻らせてみても、この霧のせいで海岸から視認出来る範囲は高が知れている。目を凝らして仲間の船を捜してみたが、味方どころか敵艦一艘すら見当たらなかった。 区別の付かない水平線を見詰めたまま、フェイは再びアルドの名を呼んだ。 「アルド」 「何?」 「もう一度、言って」 遠くで紋章砲を撃ち合う音が聞こえた気がする。それを振り払うことが出来れば、後は進むだけなのに。 「大丈夫だよ」 振り返ると、先に上陸した仲間達が待っていた。アルドはやはり笑っていた。 地に足を付ける。聳え立つ石の壁を見上げる。黒い要塞だった。視界を持ち上げていくにつれて、それは霞んでいった。 「・・・行こう」 この先に何が待っているのかは知らない。 だけどもし、この左手の紋章が再び輝いた時は。 その時は、笑って。 大丈夫だと、言おう。 +++ 4主とアルド。何かこの流れはバッドEDの方に繋がるっぽいぞ。 「彼方への」を書いた時に4主は八割方書き切った感があったのですが、時間が経つにつれて書きたいものは出てくるものですね。 書きたいものが増えるというのは他のものでも同じですけれども。 頑張って消化しようとしてますが、中々追い付かないなぁ。今頭の中で消化待ちの話がいくつあるんだろうと考えると怖ろしいです(笑) とりあえずダメモトでネクロード語録を探してみたら実際あったことに感動を覚えた今日この頃。よし、まずはティント行くぜー! |