あの本はどこまで読んだっけ?と枕元に手を伸ばそうとして、その途中で覚えのない物体に遭遇した。・・・胸かな。女か。ちょうど当たった形になった肘をかるく上下させてまるい感触をたのしむ。
「・・・んー」 と、まだ眠りのなかにあることを感じさせる鼻にかかった声が耳元でひびき、やっと、それが誰なのかわかった。 「おはよう」とにっこり笑いかけてやる。まだ焦点の合わないようすの大きな黒い目が見上げてきた。 「あれ・・・なんでクロロがいるの?」 うーん、共通の疑問か。 オレも、なんでだったかな?とつぶやいた。 一応ここはオレのベッドだ。だから「なんでわたしここにいるの?」くらいが適切なセリフのはずなんだが。 「・・・さむい」 胸の上までまくりあげられたままだった黒いセーターを無造作におろして、寝返りをうつ姿が幼い。でもけっこう大きい胸なんだよな。谷間に顔をうずめたら・・ ってオレ、昨夜の記憶とかないんですけど。 オレのほうは昨夜の服装のままだった。シャツの前ボタンはすべてはずれてはいたが。
えーと昨夜は。 団員としてのシズクの初仕事で、「暇な奴」に集合かけといたらオレたち以外に5人来たんだった。あたりまえだがなんの問題もなく仕事が終わり、お宝を肴にけっこう飲んだんだよな。
ああそうだった。ウボォがめちゃくちゃやる気だったんだ。だけどアイツしつこいしだいたい重いからなあ。三日は腰が痛むっての。本が読みたかったのは本当なんだが、それでひとりで部屋に籠もったら夜這いかけられそうで面倒くさくて。撃退するのは簡単だがそのあといじけられるとあの図体だしさ。 でまあ酔ったふりをして「夜伽を命ずる」ごっこやっちまったわけだ。シズクの奴、8番に入ること決まったときに「やっぱり団長と契りを交わすの〜」なんて、おいどこでそんな誤解ひろってきたんだよだいたい契りってなんだよそりゃたしかにウボォとシャルとヒソカとは寝たけどさあってオレは心のなかで突っ込みましたよ。だがそのうち誤解は解けるだろうってほっといたわけ。 で「シズク、オレと来い」って声をかけたらなんだかほっとしたような単に眠いだけみたいな顔してついてきたんだな。 もちろん冗談のつもりだったんだが、気のない様子のくせしてメガネなんかはずしちゃってベッドに座って見上げてくるから、なんとなく。あー女とすんのは三カ月ぶりかと思いながら。 胸先を指で転がすと、「くすぐったいよ〜」といつもの飄々とした調子でことばが漏れるのにちょっとこっちも笑いながら、酒で上気した胸にキスをする。ジーンズはベッドに入るまえに自分で脱いでたので、へそをすこし舌先でほじるとまた腰がよじれたからそれを利用して下着を下げてやって一応オレも脱いどくかなあとボタンをはずしてさて再開と思ったら。
・・・寝てた。 寝息たててた。
その顔を見たら、オレも眠くなった。 だいたい女とするのはけっこう面倒くさいんだよね、こっちがいろいろするもんだと思ってるやつが多いから。 で、けっこう酒も入っていたしだいたい強姦なんて面倒くさいことしたくないから、オレも寝た。
・・・とまあ、そういうわけだった。思い出してすっきりしたよ。ついでにこのまま続きをやってあっちもすっきりしようかと一瞬考えたんだが。 「こんなとこにぱんつあってできるの?クロロ器用だねえ」とのんびり言うこいつは、ひょっとして処女だったのか?つられて寝ちまったオレも悪いが、下着がひざ上10センチのところにひっかかっててるなんて体勢でぐうぐう朝まで寝れるこいつもどうだよ。
なんてことばをかけようかとちょっと考えていたら、ドアの向こうからウボォの腹が鳴る音が盛大に聞こえてきた。 「あーあたし、食事当番」とあっさりシズクは身を起こし、ジーンズをつけてでていく。
・・・と、一回目からケチがついたオレたちはその後もなんどかベッドをともにしたんだが常に添い寝の仲、なわけだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Production Noteを更新してしまうと、こっちに書くことないじゃん。と思ってきょうはやめようと考えたのですが、昨日ひっくりかえしていた煩悩ノートに書かれていたエピソードを思い出して急遽一時間で。 クロシズ。 これでもクロシズと言いはるわたし。
1月のProduction Noteにちょこっと書いた、「シズクとは添い寝の仲」の真相?でした。 こんなことしてないで仕事とか仕事とか仕事とか。または7日目(2)とか。するべきなのにねえ。
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