フ チ な し 



げーんかーい。

2004年01月14日(水)

大学の新校舎15階には、屋上があり小さな庭園がある。
ただし、その屋上へは一枚のドアに鍵をつけられており、
生徒は自由に出入りすることができない。

***

ここのところ、自分の中にある不安が針を振り切ってしまいそうで
なんとかバランスを保とうと、自分なりに必死だったと思う。

自分の内側の悲鳴に、いつも「非日常的行動」にでてから後々気が付く。

今回もそうだった。

その日、
晴れた空は都会の排ガスにまみれながらも私の目には、透き通って見えた。
そして唐突に、強力に「植物」に対しての接触欲求が沸いてきて、屋上へ向かった。

でも ドアは開かなかった。

家の鍵を落とした子どもみたいに何度も鍵穴にチャレンジしたが、
ドアは開かない。あきらめて、一つ下の階に降りて自動販売機でお茶を買い、プルをひく。

缶のふちに口をつける前に、ふいに足が開くことのなかったドアに向かった。










もう一度、ノブを回す。







開かない。







ドアのよこは人ひとりが座れるほどのスペースが
凹型になっている。

自分の欲求が満たされず、沸々と湧き上がる破壊衝動を抑えるために
わざとそこに乱暴にドカリと尻をおろした。
まだ新しい匂いのする壁に寄りかかり片足を前に投げ出し
もう片足は、立て膝にしてソコにヒジをついてアゴをのせる。

砂漠で水を求めて彷徨うように、私は都会の真ん中で緑色の活き活きとした植物にふれたかった。
大きな木でもいい。小さな花でもよかった。ただそれが土に根をはり生きていれば・・・。


どうしようもなかった。

なんだか自分がひどく無力に思えて、こらえがたい何かが咽喉元から突き上げてきた。

実はここまでの動作、日ごろ電話自体あまり得意ではないと聞かされていたのでなるべく控えていたある人物と電話で話しながら行っている。

電話口での私は、「どこか旅行に行きたい」と駄々をこねて
相手を困らせていた。受話器の向こうのいるのに相手は何となく
私のモンモンとした状況を見抜いているようで妙に話していて心地よかった。

その人のまえでは、いつも甘えてしまう私。
不覚にも大学という場所に居るなかで「素」の自分に戻っていたようだ。

だから、あんな言葉が出てきたんだと思う。
そしてそれは、口にして初めて自覚してしまったんだろう。

その感覚は、少しずつ体の真ん中からスルスルと込み上げて涙となってあふれて来た。電話の向こうで心配する声。


・・・・・・・・・・・・あぁ、限界だったんだ。


その数分後にどこかのゼミの子たちが庭園見学にわらわらと集まってしまい
なんだか先にいた私のバツが悪くおもえスゴスゴとそこを離れた。






後になって思えば、あのとき屋上のドアは、開かなく良かったと思う。

前に同じようなことがあったときに、校舎のドアは工事中か何かで
偶然あいており、むき出しになったパイプに腰をおろし
やはり誰かと電話をしていたと思う。そして話しながらパイプから
立ち上がり、フェンスのない建物の縁をフラフラと歩いて見たり、
真下を覗き込んで見たりと随分危険なことをやっていた。
高さとしては4階程度で今回と比にならないけれど
今回のように精神的に相当まいっていたことは確かである。

うーん、どうも高い所に行きたがるときは
気をつけなくてはならないな。

建物の限界と自分の生命に対してのギリギリの線

ボーダーライン。

踏み越えるには まだまだ早いと 冷静な現在の私なら思える。

 < 過去  INDEX  未来 >


しっぽ [HOMEPAGE]