くどいほど書いていることではあるが、のんは毎日公園に行く。
帰宅すると、まずトイレに行く。手を洗う、うがいをする。 私に連絡帳を出して、そのまま宿題をする。 外に飛び出していく。
この間、約5〜8分。宿題が少し長くかかった時で、約10分。
そして、公園でたっぷり遊び、帰宅するのは17時過ぎ。
私はその時間、夕食の支度をしている。 18時に夕食、済んだら風呂。 20時には就寝。
どう考えても、私とのんがゆっくり話をする時間が、無い。 いや、のん自身が、ゆっくり話をする雰囲気になる時間が、無いのだ。
コミュニケーションの時間がないばかりではなく、 最近、困ったことがおきてきた。
のんが、早く遊びに行きたくて、慌てるあまり、 宿題の仕方が、乱暴なのだ。
見ると、確かに答えは合っている。 でも。だがしかし。 これは、私が先生だったら読めないふりをして×をつけてやろうか、と 思うほどの字である。
特に算数、数字の時。 あまりにもひどくて、「0」が「6」に見えたり、 「9」が「7」だか「4」に見えたりするのは、 これはあんまりひどいよ、と言うと、 面倒そうにエンピツで付け足すように書いて終わりにしてしまう。
いいのか?これで、先生は○をくださるのか??
今日の宿題のプリントは、算数の引き算、筆算だった。 筆算を実際にしてみる欄があったのだが、 線の引き方も乱暴。 数字はさらに。 大きさもまちまち。
ひとつは書き直しさせたのだが、もうムッとしてしまい、ろくに返事もしない。 やっとひとつ書き殴って、そのまま飛びだして行ってしまった。
夜。寝る間際、のんを呼び寄せ、もう一度プリントを見せる。 これはあなたが先生に見せる、一番良い字なのか?と聞く。 もっと丁寧に書くことが出来るんじゃないかしら、と言う。
……うーーん。 ここまで書いて、自分の言い方にも反省。 もっと上手い言い方、持っていきかたはなかったか。
ただ、とにかくのんはだんまり。 「この字で先生に『見てください』って出しても大丈夫?」 と聞いた時だけ、かろうじて少し頷いた。
そうか。うーーーーーん。 まぁ確かに、私の認識と、先生や子どもの認識には差があるかもしれない。 でも。だがしかし。
じゃあ、とりあえずこれは今日、このままにして明日提出しよう、と いうことになる。
のんが布団に横になる。 「明日はもうちょっと丁寧に書こうね」という話をしようと思って、 横に行く。
のんの顔をじっと見る。
のんが、あまりにも幼い8歳の顔で、ムッとしているのを見て、 思わず笑ってしまった。 「なに?」と言うので「可愛いねえ」と言うと、 にっこり笑った。
そこから、しばらく学校の話をしてくれた。 今日はどんなことをしたか。 先生に、どんなことを褒められたか。 係でなにをしていて、なにが大変なのか。 少人数制で、算数は先生が二人制で教えてくださるのだが、 担任の先生でない方の先生は、どんな教え方をするのか。どんな先生か。
驚くほど、饒舌に、のんが40分もたっぷり話してくれた。
「のんの話をもっとたくさん聞きたいよ、たまには遊びに行かないで お母ちゃんと話をしようよ」 と言うと、またにっこり笑った。
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