新学期の朝。 むつを起こすと、泣き出した。
原因は、わかっている。 でも、とぼけてそれについて触れず、 「あら、泣いてないでご飯食べな〜」
のんはすでにさっさとご飯を終わらせて、洗面所に向かう。 むつだけが、布団の上で泣いている。
「ご飯食べて、元気に行っておいで」 と言ったとたん、むつが言う。
「よーちえん、いかないーーー おかあちゃん、すきだから、 もっとおかあちゃんといたいのよーーー」
あらあらあら、ありがとう、嬉しいわ。 でも行かないとね。
あっさりと言い、椅子に座らせる。 こういう場合、決してむつの機嫌をとったり「どうする?」なんていう 態度をとってはいけない!!と思っているし、 まぁ、今日の様子はある程度…予想していたような、していないような…。
食器を下げたり、片づけたりしている私を、 時折見ては「うへーーーーん」と泣くむつ。
仕方ない、今日くらいはね、と洗面、着替えを手伝う。 「明日は、自分で元気にしようね」 と言うと、うん、うんと頷きながらまた 「でも、おかあちゃんといっちょにいたいのーーー」と泣く。
楽しい夏休みを過ごしたんだねぇ。良かったねぇ。
ただ、泣きながら支度を終えたら諦め(?)もついたのか、 のんと並んで座ってETVをみながら、ふんふん♪と鼻歌。 「はい、いくよー」と声をかけると 自分でカバンを背負い、帽子を被って、 玄関にスタスタと行って靴を履いた。
玄関から出なくて、引きずって出るようなことは今までにない。 そう考えると、「ホントに行きたくないわけじゃないんだな・・・」と 思ったり。 ただ、ちょっと甘えて、ちょっと私に声をかけてもらいたいんだろうなぁ。
帰ってきた2人。 すっかり笑顔で、ホクホク帰ってきた。 先生から、旅行のお土産で飴を1つずつもらったという。 あら、まぁ。
始業式の日は、部屋で「夏休みに何をしたか」を ひとりずつ発表する事になっている。
「むちゃんやねぇ、さんりよ、ぴろろーらんどにいきまちた、って みんなにいったよ。 みんなが、ぱちぱちぱちって、してくれたよ!」
ふふふ。良かったねぇ。
ちなみに、のんの報告によると、 「のんちゃんが、むつちゃんと遊ぼうと思って部屋に行ったらね、 爪かじってて、ちっとも外に出てこなくってさ。 それなのに始業式の時には『のんちゃーーん!』って手を振るのよ」 だそうで。
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