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つけたりつけなかったりぃー
悠都
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2002年08月14日(水)
夏休みが・・・


 かなりやばい状況です。ま、どーにかなるかなぁ…………。

 前の日記は横幅狭くて文字が見難かったので変えてみたり。
 デザインは気に入ってたんですけどね〜。
 日記自体変えてみたいんですが、エンピツさんはお気に入りなので出来ない><;
 でも1日に1つしか書けないと大量に文章書く私にとってはちと不便。
 まーいいですけど。

 何か書き途中のが一杯あったのでちとUP。
 まだ2つあるので忘れてなかったら、明日と明後日に。
 一気に載せようとしたら、原稿用紙20枚以内でお書き下さいってエラーになっちゃいました;
 因みに全部羽家です。
 一言?で説明すると、
 波羽(なみは)、水羽(みずは)、風羽(かざは)、空羽(そらは)4人の異世界ファンタジー&コメディって感じです。






 雲一つない快晴、こんな天気だと誰もが童心に帰り、はしゃぎたくなるだろう。
 子供なら尚更、無邪気一杯この晴れた日を気の向くままに過ごす。そうして夕方になる頃にはすっかり遊び疲れているのだ。年を取ってくると、そういったことは中々出来ない。無邪気にはしゃぐのには抵抗がある。大人、に言わせれば彼らとて同じ子供だ。たまにははしゃいだって許される。けれどここに居る二人にはその稀にしか訪れない童心に帰れるチャンスを手放さなければならなかった。
 理由は簡単。彼ら二人の弟と妹がはしゃぎ回るから。特に妹はトラブルメーカーでこの町の中ではすっかり有名人になっていた。弟はその妹(彼にとっては双子の姉)と口喧嘩をしたり、彼女が起こしたトラブルの被害にあって叫んだりと……
 兎に角下の二人は色んな意味で手がかかるのだ。
 はぁ、と波羽は日課になりつつある溜息をついた。
「波羽ちゃん、溜息つくと幸せが逃げるよ」
「仕方ないじゃない、あの二人がはしゃぎまるとロクなこと起きないんだもん」
「でも、見てて楽しいよ」
「兄貴は後始末しないから!いつも私が全部やる羽目に……」
 波羽は頭を抱える。
 下二人、風羽と空羽の喧嘩や起こすトラブルに日夜迷惑を被っている二人の波羽と水羽は、小高い丘の上から風羽と空羽が川の辺で遊ぶのを眺めていた。
 いくら迷惑を掛けられてるとは言っても、やはり下の兄弟とは可愛いのかついつい二人は甘やかしがちになる。特に水羽甘やかしっぱなしである。お蔭でいつも波羽が怒鳴り散らすことになる。その所為で若干十七歳にも拘らず、波羽町の人々から風羽と空羽、更には水羽、計三人のお母さん的存在という認識をされてしまっていた。
 水羽は、風羽と空羽の迷惑をいつも上手い具合にかわし、後始末を波羽に押し付けている。
 彼には滅多にない童心に返るチャンスは必要ない。何故なら年中無邪気に妹と弟をからかっている。つまり、常に童心を忘れていないのでわざわざ返ることはない。
 そういった意味で、実は頭を抱えているのは波羽一人だけだったりする。
 その苦労さといったら町の人から旅行のチケットを渡され、息抜きに行っておいでと言われるほどだ。
 水羽は波羽の苦労がわかっていながら面倒ごとを押し付ける。仮にも一番年上にも関わらず。波羽は水羽が一番子供じゃないかとたまに思う時がある。掴み所がいまいちないし、付き合い難いと言ったらありはしない。
「波羽ちゃーん!お魚がいるよぉ」
 風羽が嬉々とした声で波羽を呼ぶ。
「川なんだから魚がいて当然だよ、風羽ちゃん」
 波羽の横に居た筈の水羽は、いつの間にやら二人に混じっている。
 空羽は黙々と一人、釣りをやっている。傍で水を濁してる人間が居るのだから釣れる訳がないのだが、本人は一向に気付かない。
「たまにはいいかぁ」
 波羽は丘の上から軽やかに川まで降りて行った。
 空羽を抜いて三人は水掛を始める。あまりな子供っぽい遊びにちょっとだけ後悔をしかけた波羽だったが、水羽が顔に水を掛けたのに気を取られ、負けじと水を掛け返す。波羽は極度の負けず嫌いである。
 ばしゃばしゃと飛沫をあげながら、三人は遊び続ける。必然的に水は濁り、魚は逃げていく。
「ちょっと……水掛すんなら違うとこ行け。魚が釣れない」
 水がにごると魚が釣れないことが漸く分かったのか、空羽は声をかける。が、三人は聞く耳を持たない。
「きゃっ……空くんが違うとこ行けばいいじゃん」
 水を掛けられて風羽バランスを崩しそうになった。それを水羽が受け止める。
 三人ともすっかりびしょ濡れだ。結構な時間そうやって遊んでいたのでこのままだと風邪を引いてしまうかも知れない。そう思って波羽は二人に声をかける。
「そろそろやめない?風邪引きそうだし」
「えー」
「そうして貰いたいな」
 風羽は不満そうな声を上げ、空羽は波羽に同意を示す。二人とも自分のことしか考えてない意見だ。
「もうお昼だしね。それとも二人は波羽ちゃんの作ったお弁当いらないの?」
「「いる!」」
 間をおかずに風羽と空羽は叫ぶ。
 水羽は既に成長期を過ぎているのにかなりの量を平気で平らげる。普通の量でも平気らしいが、本人曰く食べれるだけ食べたいからといって波羽、風羽、空羽三人分を合わせた量よりも食べる。
 食費が馬鹿にならないので、波羽が普通の量で我慢しろといつも普通の量四人分しか作らない。ということはしっかり自分の分を確保しないとご飯は食べれないのだ。
 風羽は水から、空羽は釣竿を持って慌てて丘の上まで駆け上がった。
 その時、柔らかな風が皮から丘の上へと向かって吹く。

『…………』

「え?」
 波羽の耳に微かな声が届いた。
「今誰か、何か言った?」
「何も言ってないよ。それよりご飯vご飯vv」
「早くしないと水兄に全部食われる」
 変わらず二人は自分中心に世界が回っているらしい。波羽は自分の耳に聞こえた声は空耳だと判断し、昼食の準備を始める。水羽も川岸から離れ丘を上がる。一度、川の上流を訝しげに振り返るが、すぐに自分の所定の場所へと腰を落ち着けた。
 昼食は波羽のお手製のお弁当。一人一人の分がきちんとわけられている。これは水羽が他人を分を食べるのを防ぐためだ。それでも水羽は空羽が余所見をしている隙を見ておかずを取ったりしているのだが、気付かない方が悪いという決まりがあるので誰も何も言わない。後から空羽は文句をたれるがそれも無視される。自分の物は自分で守る。それが兄弟達の間で決められていること。隙を見せる方が悪いのである。
 四人は他愛もない世間話、学校の課題や最近起きた出来事、今時分の欲しい物の話など隙を見て自分の話しをする。
 大体が、風羽の話で他の三人は聞き手に回る。空羽は風羽の話に飽きると風景を見ながらお弁当を食べる。波羽は面倒見が良いので風羽の話をずっと聞いているし、水羽も一応は兄弟思いなので相槌を打ったりしている。
 これが彼らの日常。
 学校に居る時も今と殆ど変わりない。勿論、家の中でも。
 ここ、イースの町は異世界セシルの中で最も自然が豊かな場所。そのため精霊が多く住んでいる。精霊の数が多いということはそれだけこの地が加護を受けているということ。
 そしてイースの町の東側には大きな森がある。その森の中には大きな建物が建っている。そこが彼らが通う学校。精霊から加護を受け、力を借りて魔法を扱う若しくは精霊自体を召喚する精霊使を育成する場、セーリアス学院。森自体が敷地で、生徒は自らが選んだ科目の授業を受ける。寮生で、卒業するか退学するかまではその敷地内から出ることは許されない。
 けれど彼が今居るのはイースの町の西にある小高い丘である。明らかに森の外。何故彼らがここに居るか、答えは簡単。彼らはセーリアス学院を卒業しているからだ。卒業後も学院に席は置かれる。学院への出入りは自由で、授業も好きなように受けられる。卒業には必要な試験を幾つか受けるだけで良く、年齢は関係ない。
 水羽、波羽、風羽、空羽と言えばセーリアスでは勿論精霊使達の間でもかなり名が通っている。
 この世界で精霊や精霊術の管轄を執り行っている協会に認められた世界で頂点に立つ精霊使達、羽家の称号を与えられているからである。