un capodoglio d'avorio
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2004年02月03日(火) シービスケット(映画)

昨日は夜、新婚かまぽん夫妻からお誘いがあって、吉祥寺で3人、串揚げを食す。で、今朝、どかは有楽町を目指して中央線で東へひた走る。「シービスケット」@日比谷スカラ座 withねこばすクン。「観たいの観たいのお」とダダをこねてむりやりつき合ってもらったの。

何と言っても JRAが肝いりでスポンサーに入っているほどに生粋の<おうまさんむーびー>!聞こえてくる評判も割と好意的なのが多かったし、楽しみにしてた。

ストーリーは大恐慌時代のアメリカ。全ての努力が水泡に帰す時代、失意のどん底にあえぐ人々に希望の明かりをともしたのは、大統領でも銀幕のスターでもなく、一頭のサラブレッドだった…という感じ。人生の蹉跌を知った、ひとりの馬主、ひとりの調教師、ひとりのジョッキー。そしてデビュー以来、全く冴えないまま引退を目前に控えた一頭の競走馬。この三人と一頭が、お互いをしかりとばし、支え合いながら少しずつ、志を遂げていくという展開。で、つけられたコピーが…、

  一度や二度のつまづきは、誰にでもある

というちょっと恥ずかしいものなのだけれど。でもこれは、実際に存在した競走馬とそれを支えたチームのエピソードをかなり忠実にプロットに生かしているらしい。

で、印象。うん、面白かったよう、かなりね。

例の「感動的」なストーリーは、こんな言い方するとなんだけど、それほどでもなかった気がする、大筋の流れとしてね。つまり、やっぱり作り話ではなく実話に基づいている以上、あまりに有り体なハリウッド流「ご都合主義」のドラマチックなクライマックスになるわけではないんだよな。あと緩急の付け方が少しもったいない気もして、難しいとは思うけど、当時の空気の再現と、物語のうねりの描出とのバランスが、前者にかなり片寄っていて、それでとても誠実で清々しい印象を生むことになっているのだけれど、やっぱり観終わったあとで淡泊な印象も禁じ得ないわけで。

ストーリー的に、どかが最もグッと来たのは「友情」かな?「努力」とか「信頼」とか「希望」ではなく、「友情」。シービスケットの主戦騎手のレッドが怪我をしたときに代わりに手綱を取ったウルフ。レッドはウルフに対して、その件で微妙な距離を互いに感じてしまうのだけれど、でもウルフは自分がテン乗りしたときにレッドが細やかにシービスケットのクセなどをアドバイスしてくれたことや、何より、テン乗り候補として自分を推してくれたことを忘れてなかったのな。でもレッドは、それで大成功を収めたウルフに対してもやもや思う。で、最後のレース。鞍上も馬も怪我からのカムバック戦、ウルフが先行する自分の馬を、遅れ始めたシービスケットと馬体を合わせるために、わざと押さえるんだよね。前フリが、ある。先のアドバイスの中で馬体を併せさえすればシービスケットの闘争心に火がつくと、レッドがウルフに教授した内容を、ここでどかは思い出す。シービスケットに乗ったことのあるジョッキーにしか分からない真実。

どかはもうね、シンガリで遅れて一頭走るシービスケットという状況で、先行する馬群から一頭だけ、ウルフの駆る馬が遅れ始めた瞬間、号泣。やられたーって感じ。よくよく考えたら、ウルフは自分がわざと負けるような騎乗をしているわけだから「や、八百長?」とか思うんだけど、でも観ているときはどか、そんなこと気にできない。うん、主人公のレッドよりも、ウルフのが、ずっとかっこよかったなあ、最後のあのシーンは、本当に良かった。

というよりね、もうまず、レースシーンがすごいわけだ。全てのレースシーンの迫力が、もう圧倒的。「マトリクスリローディド」のカーチェイスのシーンの300%増しですごいのだ。ジョッキーの視点からの映像や、ちょい後方上空からの映像、足下から抜く映像、とにかくそのスピード感という言葉を凌駕するリアリティは、絶対必見である。スタッフは絶対、このレースシーンを撮りたかったがために、この映画を企画したんだと思う。そう確信するほどに、この映像は素晴らしい。あと、音響も。レース中にジョッキー同士が会話をする声や、遠くで鳴る歓声、そして何より蹄の音や馬体がぶつかる音。そんななんやかやも全て完璧。どかはあの「ベンハー」の有名な馬車戦車のレースシーンもすごいなーと思ってたけど、ようやく、あれを超えるシーンが生まれたんだなーと思った。さらに言えば「エピソード1」の宇宙船のレースシーンよりも、このアメリカの競馬場のダートコースのレースシーンは素晴らしい。

っていうかね。どかだけかな?もう、サラブレッドは、やっぱり美しい。無条件に。馬がいっせいにダーッと駆け出すだけで涙腺弛むもの。馬がグーッと内ラチ沿いにコーナリングするだけで涙腺弛むもの。コーナーから立ち上がってグッと首が沈むだけで涙腺、弛むもの。そして一生懸命走ってる馬が、怪我をするシーンにいたっては、もう。映画としてはずるいと言えばずるいのだけれど、どかとしてはストーリーそっちのけでも充分楽しめるほどの映像だった。それがストーリーとかみ合って、実際のホースレーシングの臨場感がたたみかけてくるのだから、やっぱ、すごい。

で、武豊が日記で書いてたけど、製作スタッフにかなり競馬界のヒトが入っているらしく、アメリカの1流ジョッキーもキャストで出ているらしい。それを読んで、どかはレースシーンの迫力に合点がいったんだけど、じゃあ、どれがその現役ジョッキーなんだ?と思ってよくよく観てみると、あ。ウルフ役なんだって!まじ?普通の役者みたいにたくさんセリフしゃべってた、というか、この映画で一番格好良い役じゃん!!その名をゲイリー・スティーヴンスという。ケンタッキーダービーを3回勝つほどの超1流ジョッキー。しかもハリウッド俳優顔負けのハンサムくん。はあ、すごすぎる(武さん、いっちょ、やっとこっか?サイレンススズカで…)。

で、まだ半泣きのブスな顔で映画館を出たどか。印象的なセリフは、

  馬を癒したんじゃない、馬に、癒されたんだ

  足が壊れる前に、心が壊れてしまいます

っていうことを話してたら、ねこばすに冷めた目で、

  アホか、そうやってまた、馬券に金つっこむんでしょ
  調子に乗ってんじゃないよ、ったくやばいなー


と笑いながら一喝され、目が覚めたどかだった、しぅん。

そのあと、上野へ向かい、東京国立博物館の「南禅寺」展を観に行く。イマイチ。あまり面白くなかった、どかてきに。等伯が2つ、探幽が1つ、あと応挙が1つ、あったけど、うーん。グッとこなかったな。チ。マルモッタンにしとけば良かったか。

それから、ひとり吉祥寺に出て、どらと合流。みんみんで餃子を食べて、ジャスミンティを飲みながら話す。忙しいよー、東京に出てきてから、ほんっとに分刻みで動いてる気がする。どかと会ってくれるヒトがたくさんいるのは、ありがたいことよと思ったことね。


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