un capodoglio d'avorio
passatol'indicefuturo


2003年03月26日(水) Syrup 16g "delayed"

で、こっちがセカンドアルバム"delayed"。
攻撃性が少し抑えられて、ちょい耽美的なベクトルが大きくなった感じ。
でも、まったく「ナイフ」を放棄してるわけじゃなくて、
手のひらの中のその哀しく光る刃のきらめきが時折目に入るから、
それが、気になって、怖くって、哀しくって、で、
聴いてると段々、優しくなってくる。

"coup d'Etat"で切り刻んだ自分の身体から流れた血が、
雨に濡れたアスファルトに拡散していって、
路肩のひび割れから地面にしみていく。
そのしみていく音にならない音を聞く感じ、
あくまでどかの個人的な印象だけど。



  愛する色が
  どんな色であっても
  優しい気持ちだけで
  夜は明けていくよ
  (Syrup 16g「Reborn」)


  皮膚感覚は麻痺して
  脳細胞は死滅して
  ラクダみたいな顔して
  欲望は狂犬みたいで
  (Syrup 16g「落堕」)


そう。
ラブソングなんだよね。
うっかり、気づかないところだったね。
オリコンで無自覚に流されてると見せかけて自覚的に流してる、
サビばかりフックが強くてボトムが無い、
聞きやすい「応援らぶそんぐ」とか「病気らぶそんぐ」から、
あまりにかけ離れてるから。
どかの耳も、危なかったのか・・・、麻痺してたんかな、ヤベヤベ。
にしても、「Reborn」は名曲だなあと思う。
切ないなあ、すごい、すごい、分かるのすごい。

でも、"coup d'Etat" より先に "delayed" の曲に触れていたとして、
そしたらどかはすぐに反応できたか分かんないな、正直、自信、ない。
聞き込めば、あらがいようもなく絡め取られてしまう、そんな感じ。
"coup d'Etat"はもう違うもん。
いやがる身体を、耳だけでひきずり回す感じ、痛いッつーの。
でも、嬉しかったり(どかはMよかSのが強いはずなんだけどなあ)。
人に勧めるとすれば、まずファースト。
でも、どっちにしても、両方、名盤。

・・・という前フリをしておいて危険な話題かと思うけれど、脱線します。
ある音楽レビューサイトを見ててビックリしたこと。
BUMP OF CHICKEN と Syrup 16g のメンバーは個人的にとても仲がいいらしい。
へえー、なんでやねんな、とどかは思った。
ここまで書くと、もうバレバレだけど、どかはバンプ、あまり好きくない。
カラオケとかでバカ盛り上がりはするけど、でも、個人的に部屋で聴きはしない。
あれはロックじゃないと思ったの
(って話を、ハイロウズのライブに一緒に行ったときにハルにゆったら、
 彼も「そう思う、ライブに行きたいとは思わない、バンプのは」って
 言ってたので、そーだよねーって)。

どかがバンプを嫌いな理由はいろいろあるけど、
でも、Syrup 16g の持つ最大の武器が、自己否定を突き進む「誠実さ」だとして、
バンプは自分を「自己肯定」するため突っ走るんだけど、それを裏打ちしてるのは、
あまりに軽薄で安直な「欺瞞」だと思うの。
昨日の繋がりで言うと、二律背反の「フリ」をしている感じ。
背反しつつ、ぼくは突っ走るよーって、元から背反してないジャン、みたいな。
あと、演奏も、めちゃくちゃヘタクソだと思う、バンプ(ハルも同意)。
昔、ブルーハーツがブレイクしたとき、もちろん彼らのヘタクソぶりは有名だった。
で、一部アホなメディアが「ブルハはいいよねー、ヘタクソで」って書いてて、
どかは唖然とした「ヒロトやマーシーマジ切れするぞ」って。
演奏なんて、上手けりゃ上手いほどいいにこしたことは無いのに。
ブルハがブレイクしたのは、もっと別の、光り輝く才能がまたたいて光増す、
「夜のとばり」があのころの時代に降りてきたからなのに
(そして今、ハイロウズはロック界で最も演奏の上手いバンドの1つになった)。
じゃあ、バンプが今光り輝いてるのは何でかって、
それは自ら恒星となって燃えてるのではなく、
時代が彼らを「享楽刹那主義」のピンスポットで抜いて、
「諦観没落主義」がフットライトで照らしてるからだと思うの。

そんなふやけた「自己肯定」応援ソングなんて、もうお腹いっぱい、
間に合ってます、どかには。
というか、シロップがいま、ガンガン売れはじめたのは、
そんな「お腹いっぱい、間に合ってます」感と呼応しているのを、どかは確信してる。

というか、目指してるところが違うんかねー。
オリコンチャートをただ、突っ走りたいって思ってんだったら、
確かに正解100点ですって感じかな。

でもどかは、テレビゲームみたいにスコープの中、
精密射撃の映像を見せ続ける今の報道よりも、
テレビカメラのいない場所、無辜の子どもたちがあっという間に資材の下敷きになって、
でその土地に染み込んでいく血が乾いてしまう前に想像しなくちゃ、と思うの。
シロップとバンプって、つまりはそういうことだと。
どかは「落堕」を聴きつつ、そんなことを、思った。


どか |mailhomepage

My追加