あたろーの日記
DiaryINDEX|past|will
旧暦10月9日。 招待券を戴いたので、東京都美術館で開催されている日展へ行ってきた。巣鴨からバスで千駄木まで行き、そこから上野の森へ向かうつもりが、ついでに、と、往来堂書店とか古書桃李とかにふらふら寄り道しているうちに、午後もいい時間になってしまい、慌てて早歩きで善光寺坂を上り、芸大側から東京都美術館へ向かう。この、JR上野駅から電車を降りて美術館に行くよりも格段に「通」っぽいルートがなかなか良かったりするのだ。へへ。単純な奴。お寺や古いお店も多く、なかなか趣がある界隈なので。もっとゆっくり散策したい地域。 日展、混んでました、さすがに。しっかし、それにしても・・・圧倒されます。凄いなあ。日本にはあんな凄い絵を描く人達がほんとうに沢山いるんだなあ。主に日本画と洋画を見て回りましたが、なにせ作品の数が多いので、時間が足りませんでした。どれも力作で、とにかく圧倒される。画家1人1人の世界が、色彩と構図を通して観る側に訴えてくる。その連続。洋画も良かったのですが、私は特に日本画がいいと思いました。・・私も水彩と油彩をやっているのですが、なにせ、人様に見せられるような代物じゃあありません。基礎もなにもなってないし。だけど、展覧会に行くと、絵心を刺激されて、わくわくしてきます。 それから、多くの日本人画家の作品展だけに、こちらの心の片隅に眠っている、かつて見た懐かしい風景や、または日頃表に出てこない心象風景など、その絵にぐいぐい引き寄せられずにはいられないような力を持った絵も多く、会場を歩きながら、心が洗われるというか、揺さぶられるような、そんな気がしました。 展示してある絵の絵葉書も売っていたので、特に気に入ったものを数枚購入して、閉館時間になったので外へ。 今度は暗くなったので電車で帰ろうと明るい上野駅に向かって歩いていたら、西洋美術館の少し手前の上野公園内で、若いマジシャンの男性が簡易ライトとラジカセで即席ステージを作りながら客寄せしていたので、興味津々で立ち止まる。と、何かが始まるんだとわくわくしながら駅へ向かっていた家族連れもぞくぞく集まってきた。上野の美術館博物館も5時の閉館で出てきてあとは駅に向かって歩くだけだから、みんな電車に乗る前にまだちょっと楽しい思いしたいんだよね。私も。 マジシャンのお兄さん、言葉巧みに道行く人々を引き寄せて、いつの間にか彼の周りに半円の人垣が出来た。私は最初の方に立ち止まったので人垣の中でも前方の見やすい位置にしゃがんだ。面白いことを次々言ってみんなを笑わせながら、同時に手は目にも止まらぬ早業で、ステッキを空中から出したり、口からトランプを次々吐き出したり、タダ者ではない芸人にみんな大喜び。 ところが。 マジックが始まってまだ5分もしないうちに、公園管理事務所の人が3人ほど来て、マジシャンのお兄さんの傍らに立ち、やめるように言った。お兄さん、納得いかない様子だったけど、管理人は早くやめるように促している。えーっ。ちょっと酷くない?なんでー。そんな声が人垣のあちこちから聞こえてくる。私も同感。だって、公園でしょ?別にみんなに迷惑かけてるわけじゃない。道路でやってるわけじゃないよ。それに、もう観客は60人くらいになってる。動物園などから出てきた親子連れも多く、みんなわくわくしながらお兄さんの手品を見てたんだよ。だけど、管理事務所のおじさん達はそんなことお構いなし。公園の規則かあるんだろうけど、とにかく自分の職務に忠実というか、融通が利かない。マジシャンのお兄さんが「・・・じゃあこれが最後のマジックになります」と、無念そうに言いながら3つめの出し物。1本のスプーンが2本に。その間にも管理事務所の人達は、さっさと終えろ、みたいにつついている。マジックが終わった時、ギャラリーからはとても大きな拍手がわき起こった。お兄さんのマジックが凄かったからというより(だってまだ3つしかやってなかったからね)、管理事務所の仕打ちに対する非難の意味も込めて、お兄さんにエールを送った、そんな拍手だった。ほんとに大きな拍手だったので、お兄さんもびっくりしてたし、管理事務所の人達も居心地悪そうだったし、みんなと一緒に拍手した私自身もびっくりした。みんな同じこと考えてたんだと、ちょっと嬉しくなった。人垣から少し離れた場所で見ていたホームレスのおじさんが、管理事務所の人を、「なんでやめさせたんだよゥ〜」と、酔っぱらってろれつの回らない舌で叱っていた。 路上の無名芸人を保護するのだって、文化活動だと思うんですけどね。 上野の森も、もっと自由な芸術的雰囲気を作るべきでは。
|