あたろーの日記
DiaryINDEXpastwill


2004年03月22日(月) 都市は巨大な外部記憶装置

旧暦閏2月2日。
なんつー寒さですか。桜咲いたんですよね?大丈夫でしょうか。。。心配。

実は昨日、DVD「イノセンスの情景」を買ってしまいましたです。これは映画の中の人物を抜き去った背景だけをサントラに合わせてビデオクリップみたいに編集してあるものです。30分ちょっとの長さなんですが、作品に出てくる「択捉経済特区」という架空の都市に惚れ込んでしまった私は、もう嬉しくて溜息つきながら何度も観てます。白状すると、サントラは映画観る前から買ってしまってました(^^;)ジャズシンガーの伊藤君子さんの歌う「Follow Me」が聴きたくて。ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」が大好きで、マイルス・デイビスや天野清継さんのアレンジはCDを持っているのですが、ヴォーカルものは初めてだったので、「イノセンス」の公式サイトで予告編を観て、誘惑に勝てず、映画を観る前にそそくさと買いに走ってしまって。。。でも、このサントラ、全曲気に入ってしまいました。映画の添え物ではなく、1曲1曲の完成度がとても高く、ぞくぞくします。伊藤君子さんの歌うもう1曲の「River of Crystals」がとても好きになりました。リュック・ベッソン監督にエリック・セラがいるように、押井守監督に川井憲次がいるのですね。この映画と音楽が作られたことにすごく感謝したい気分です。・・・と、まだコーフンしてますが。

映画館でこの映画を観終わったとき、後ろの人達が「ぜんぜんわかんねー」とか言いながら「終わったよ」と仲間を起こしてました(泣)。トイレに行く途中通路のあちこちから「面白くなかった」「観て損した」とか言う声も。。混んでるかなと思いつつ入った映画館、とっても空いていて・・というか、ガラガラでした(悲)。で、1回の上映が終わる度にトイレに行ってた私ですが、館内見渡すと、終電までには若い人やカップルはさっさといなくなり、オールナイトで見続けたのは20代〜40代の男性がほとんどだったようです。約1名、1列目の端っこで最初から最後まで飲んだくれて椅子から崩れ落ちるように爆睡してたおじさんがいたけど。
思うに、主人公の孤独な心象風景に、自分を重ね合わせて入り込める人は、この映画、じーーーんとくるんじゃないかなあなんて思います。もちろん、エンターテイメント性も十分あると思う、それだけでも十分楽しめると思うのですが。・・・主人公のバトーがサイボーグでありながら犬を飼っている、その理由。今日も仕事しながらふと考えてしまって。きっと、観る人それぞれの「イノセンス」が、各人の心の中で組み立てられていくんだなあって気がします。
なんだかんだつらつら書いてすいません。

 昨日、まだ4時半を少し過ぎたところで映画が終わり、映画館を出たのですが、歌舞伎町が相変わらずネオンの明かりと喧噪の中にあるのに驚きました。まさに「不夜城」です。コマ劇前の広場から靖国通りまでの一帯は、たぶん日本中で一番明るい夜なのではないでしょうか。新宿駅について来た道を振り返ると、歌舞伎町の、それもコマ劇を中心とした狭い区域だけ、ありきたりですが宝石のように明るく光っていました。けれど、人工的なケバケバしい明るさの1枚裏側はとてつもなく暗い世界なんですねきっと。犯罪の起こる率も日本一だそうです。いくら気をつけていても、確かに女性1人で歩くには危ないです。なんであんなところに映画館が集まってるのか分かりませんが。
 ところが、私にとって歌舞伎町という場所は、何故か魅力を感じるところでもあります。混沌、退廃、猥雑、光と暗闇。都市に魔力(話がいきなり飛躍しますが)というものが存在するなら、それは確かにここにある、という場所が歌舞伎町なんだという気がします。都市の掃き溜めのような場所が好きです。掃き溜めの底から光を放っているような。・・・20代の頃ですが、歌舞伎町を舞台にしたロードムービー風の掌編小説を書いたことがあります(読むに耐えない代物です)。私の都市感覚って、その頃からたぶんあんまり変化してません。新潟の田んぼの真ん中からいきなり都会に出てきて、それも歌舞伎町の地下でほとんど毎日、4年近くアルバイトしていた時の経験が、今の自分の「街をみる眼」に大きく影響しているのだと感じます。
 人の手のついていない自然に惹かれる反面、人の営みのすべてをぶち込んだような都市の暗闇にも惹かれる、その相反する嗜好って一体なんなのだろうって自問しながら、歌舞伎町を後にしました。
 映画の中でバトーが云う「都市は巨大な外部記憶装置」という表現が、ずーっと頭の中をぐるぐる回っています。



あたろー |HomePage