あたろーの日記
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2004年03月21日(日) 「イノセンス」

 旧暦閏2月1日。

 昨夜(土曜)は、ようやく映画「イノセンス」を観に行くことが出来ました。歌舞伎町の映画館でオールナイト上映されていたので、ハンバーガー買って飛び込んだのでした。20;50からの回を観て、つまらなかったらそれで帰り、面白かったらそのまま居座ってオールナイトで繰り返し観ようと。・・・で、ハンバーガー食べるのも忘れて、どっぷり朝まで見続けてしまいましたです。。。午前4:40に上映終わるまで、計4回も(^^;)

 ネタバレしない程度に感想を。
 最初の導入部分から最後まで、映像美に酔いしれました。前作「攻殻機動隊」もそうでしたが、この監督の作品でのヘリコプターの登場のさせ方がとても好きです。私が何故か異様にヘリコプターが好きなせいかもしれませんが、ヘリから俯瞰した都市の光景に惹かれるのです、とても。途中で舞台が北にある択捉経済特区という架空の都市に変わるのですが、その上空をやはりヘリコプターで回ってやがて降下していく、その場面がとてもいいです。主人公のバトーがこの都市に屹立する異様な形のビル群を「卒塔婆の群れ」と表現しているのですが、上空から俯瞰すると死のイメージの濃いチャイニーズゴシックの都市を、ゴーレムだのサタンだの、ミルトンだのと話しながら降りていくところ。それからその択捉経済特区の卒塔婆の谷底で繰り広げられている人形の祭典との対比。視覚的にまさに「度肝を抜かれる」感じがします。原色の乱舞、死と生の交歓とでもいうのか、祭りというものの本質をアニメーションで描くとこうなるのかと驚き、圧倒されました。このシーンをそばで観たくて最後は一列目に移動(笑)。
 それからやはり択捉経済特区上空をヘリで飛びながらバトーが「都市は巨大な外部記憶装置」と言う、この部分がとてもずしりと来ました。映像と言葉のコラボレーションだからこそできる表現ではないかと思います。この場面にとても大きなインパクトを貰いました。

 まだまだ好きな場面はたくさんあるのですが。。80分たらずの短い映画ですが、何度観ても厭きないどころか、回を重ねるごとに視覚から得るイメージが観る側の中に重層的に蓄積されて、観客それぞれの「イノセンス」ができあがっていく、そんな映画のような気がしました。ストーリーは特別混み入ったものではないのですが、同じ監督の前作「攻殻機動隊」を観てからのほうがやはり理解しやすいのではと思います。基本のストーリーはシンプルで骨組みがしっかりしているのですが、繰り返し観るうちに、随所に現れるメタファー(隠喩)に気づき、それを自分なりに解釈していく、という面白さもあるようです。ただ、それは、観る側の心象により受け止め方を変えることが出来る、そういうことを許してくれる懐の深い作品ではないでしょうか。この作品は、人の存在についての問題提議であり、恋愛映画であり、孤独についてのひとつの解釈であり、生命の定義を問うものであり、押井流の都市論にもなっているのだと感じました。

 アニメに限らず、映画には美男美女がつきものなのですが、この「イノセンス」には若くて綺麗な女性は1人も登場しません。モテそうな男性も出てこない。主人公は脳味噌以外は機械のおじさんサイボーグです。でも、この主人公バトー、かっこいいです。寡黙でぶっきらぼうなんだけど心の中に何か抱え込んで歳積み重ねているような。この主人公がもし若くて格好いい男性のサイボーグだったら、この映画観に行かなかっただろうなあ。あと、綺麗な女性が出てきても、あんまり興味沸かなかっただろうなあ。

 最後に、泣けます。というか、私は泣いてしまいました。1回目観たときはじーんと来ても涙が出なかったのに、2回、3回と観るうちにうるうる度が増してきて、4回目は明け方だというのにざあざあ大雨状態(大げさですが)。

 また観に行きたいので時間が出来たら映画館に足を運びます。大きなスクリーンでないと、この映画の凄さって分からないんじゃないかな、って思います。。。。。この映画、大好きな映画の1番か2番(私の中では「ブレードランナー」を抜いてしまった・・・)になったので、またそのうち蘊蓄書かせてくださいm(_ _)m


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