ブラスト2  2008年08月08日(金)
(08.8.3.mixi【ブラスト2の後】再録)

『ブラスト2』を観て、確かに凄かったが至って冷静な自分がいた。思うに楽曲が相当にメジャーな、盛り上がれるアッパーなもので、ジャンルを色々と取り入れた「誰でも楽しめるもの」だったというのが、逆に「もっと突っ込んでコアなところを突いてくれれば・・・」「もう1歩、もう1歩、踏み込んでくれたら・・・」という、欲望の歓喜に留まったからだろう。

何層にも奥行きの広がる、かなり可変性のある舞台の上で、吹奏楽の演奏者、ドラム奏者、電子音の奏者、バトンやリボンを舞わせて踊るパフォーマーらが入り乱れ、全く止まることなくその場全体が動き回る。人間の動きも音楽の一部、楽譜の一部といった具合に。そのためか、「もっともっと聞かせてほしい」「この音楽のさらに先にある展開を見たい!」という願いが生じてしばらくしたところで何と曲は終わり、満場一致の拍手に祝福されて、次の曲目へ移行してしまうのだった。

こちらの体内時計の針と、表現する側の時計の針とが、噛み合わないときには、強烈な一体感は生まれにくい。
音楽は本当にジャズ、ラテン、タンゴ、テクノ・アンビエント調からディジェリドゥ独奏まで、非常にバラエティが豊かだった。
だからこそ思ってしまう、「ざっくばらんで、何でも屋なのは分かったから、そのディジェリドゥだけをあと1時間フルに遊んでみてくれ!」とか。「その電子音の渋く響いてるところをあと1時間叩いててくれへんか!?」とか。

隣のねえちゃんなんか、途中で立ち上がって踊りだすんじゃないかってぐらいテンション上がってて、最後のほうギャーギャー言って拍手してたもんな。みんなで超群れて休憩中と終演後のロビーでの出演者顔見せに殺到してギャーギャー言いながら写メしたり。まあそれが普通の反応なのだと思う。だがなあ・・・多用された電子音と、音響の処理からして、やはりここは単音でビーーーーン、ボオーーーーン、ドン、ドン、 パン、と、サバンナの荒野や北極海の氷上で見上げる太陽やわけのわからん恒星のような単音を、渋く響かせ続けていてもいい、と思ってしまう自分がいたので、今日の感動はむしろ先送りされた感じです。

パフォーマーの演技力は相当なものです。体力も尋常ではなく、飛んで跳ねて転がって立ち上がって即、トランペットやサックスを吹き抜くのだから、音の軍人みたいなものです。
しかし私は毒のないパフォーマンス、演出はダメなのかもしれない。とにかく安全に作られているわけです。○・△・□の図形を散りばめて楽器を叩き、弧を描く輪をくるくると回し、トワリングの超絶技巧で締めに掛かる。

それと比べて、ジャンルは違えど同じ舞台上の演出として、劇団☆新感線に妙にハマってしまったのはなぜか。あちらも王道のエンターテイメントをやりながら、人の欲、野心、恐怖心や、義憤、各々の正義、各々の事情、そしてそれらがぶつかり合ったり、覆されたり、とかく人間のブラックな面を確実に突っ込んでいくのです。バッドエンディングもザラですし。

バトントワリングの本庄千穂さんが超絶に凄かったです。そこは涙目になりました。なんかもうこの人を見に行ったんじゃないのかっていうぐらい存在感があった。楽器奏者の演奏とパフォーマンスを一瞬で後方支援の役付けぐらいに遠ざけるほどのスピード感、力強さ。神秘。たかが棒を回す、投げる、受け止めるということがここまで人の心を打てるとは・・・。

単純で明快なモノの、単純で幾何学的な動きや光りほど、美しく神秘的に感じるのかも知れません。
なら、タイヤとか信号機にライブをさせたら相当感動するんじゃないか? とくに車道の3ツ目信号。あれと民族楽器と、電子音。パー^−−−プーー^−− ポォオオオオン  チカチカ。  ははは。

勝手な妄想が色々入ってきたせいで、あまり細部も全体の流れも覚えてません。すんません。
「そんなに動いたり上下左右しなくても、止まっていいから、重厚で戦意溢れる熱い演奏してくれたらいいのに・・・」と思ってしまったので、どうしようもありません。今日はそういうギアの入る日。


ヽ(`□´ )ノ リトルカオス推奨派。

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