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2003年12月10日(水) ワンコインで満喫する大阪北東部バスの旅

数年前より、大阪の街には「赤バス」と呼ばれるちっこいバスが住宅地を縫うように走っている。これは、近年各地で続々と誕生しているコミュニティバスの一種なのだが、独特のフォルムに真っ赤な塗装となかなか個性的なバスである。その中身はどんな感じなんだろう、と実際に乗ってみた。

お天気は晴れ。抜けるような青空を綿菓子みたいな雲がふわふわ漂っている。絶好のドライブ日和の昼下がり。大阪拘置所近くの専用バス停に立つ。

今回乗るのは、京橋駅前から都島区役所・地下鉄野江内代駅を経て旧淀川沿いの毛馬で折り返し、再び野江内代駅・都島区役所を通って京橋に至る、という路線の復路部分である。この赤バスは車両台数を増やさずに本数を確保する為に一筆書きの一方通行パターンの運行が多いそうなんだが、この地区は人口が多い故か、幹線バスがある程度網羅されているからなのか、方向転換する毛馬地域以外は両側通行の路線である。バス停の時刻表をみると1時間に3本ないし4本が運行されていて本数も多い。その時刻表の下には赤バスの乗り方が掲示されている。このバス、扉が前方のひとつしかないので、お金を払うのは乗車する時なのか降車する時なのかどっちなんだろ、と不安だったのだが、この掲示のお陰で降車時に支払うことが判り一安心。

定刻から15分ほど遅れてやっとこさやって来たバスに乗り込む。予想外に天井が高いのと結構な本数の吊革がぶら下がっていることに少し驚く。座席数はざっと15席ぐらいか。乗客は5人。内訳は主婦と老婆が2人づつと大きな荷物を肩にかけた自重0.1tのむさ苦しい男が1人。

さて、見た目は米穀店の配達車みたいな感じの車両だが、実際に乗ってみるとやはりバスである。電光掲示板もあれば当然車内放送もある。だが、やはり普通のバスとは決定的に違うな、と感じるのは車窓からの眺め。そして、予想以上に路面の凸凹の様子が足下から伝わってくる。旅館の送迎バスと同じ様な乗り心地である。

バスはひたすらノロノロと決して大型バスでは走れないような狭い道をジグザグに突き進む。裏通りのゴミゴミした車窓がゆっくりゆっくりと流れていく。やがてバスは城北筋へ。すると、今まで続いてきた亀みたいな走行の反動とばかりに物凄い勢いで野江の街を疾走していく。都島本通を西に折れる。まだまだ快速走行は続けられる。車両が小さいだけに法定速度でもなかなかのスリルがある。その後、バスは再び都島区内の路地をクネクネと進みつつ細かく設けられた停留所で客を拾っては降ろし、区役所や京街道を経て京橋の降り口に横付けされ、約25分の小さなバス旅は終わりを告げた。

うん、思ったよりもいい感じ。運転手さんも毎回乗客がちゃんと着席するのを鏡越しに確認してから静かに発進していて非常に好感が持てた。今のところは本数も少なく迂回しまくりで速達性に欠けることもあってか、かなりの赤字が出ているようだが、大阪市にはこのバスシステムを地域のお年寄りの足として末永く育てていって頂きたいものである。そして、路地だらけで不便な場所が沢山ある我が京都市にもこうした新しい交通体系の構築を早急にお願いしたいものである。いや、その前に市バス〜市営地下鉄の乗り継ぎを大阪みたいなシステムにしてくれぃ。

<追記>その後、この路線の赤バスを何度か利用しましたが、朝・夕・休日とほぼ座席が埋まっておりました(正午過ぎに乗った一度だけは途中まで空気輸送やったけど)。このまま地域の足として根付いていくかな〜。


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