明け方近い時間まで読んでいた小説の世界は。 深い闇の中からでも光が溢れてくる日は必ずくる。そのときを信じて、それを忘れちゃいけない。そのときがくるまで。
目が覚めて。ブラインドの隙間に見えた青は、小説の世界から抜けだけないだけじゃない不思議な気持ちを、今日のはじまりを迎えたばかりのあたしに植え付けた。 窓越しに見える、青。ぼんやりと眺めながら過ごす。雲のない青い空。どこかでみたことのある色。思い出せない。感じるのは切なさ。 理由もわからず、ほんの少しだけ、泣いてみたり。
時は経ち、空の色は白く濁り。ぼんやりした気持ちに鞭打ち、重い腰を上げて。一駅向こうのホームセンターまで散歩。
目的のものを買い、外へ出るとあたりはもう暗闇の中。携帯電話の着信を知らせるほの青い光に気づく。開いてみると母からのメール。
今日はおばあちゃんの命日だよ。
綺麗な青。切ない青の正体。目に浮かぶ、あの日の晴れ渡った青い空。
暗い道を歩きながら。心の中はあの日の青でいっぱい。 忘れててごめんね。でも、ばあちゃはまだ、どこかにいるような気がするんだ。 たぶん、空があるから。
|