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2007年06月11日(月) 仮想世界

NHKで仮想世界を取り上げた番組をやっていた。mixiのように言葉のみの世界ではなく画面に3Dの仮想世界が繰り広げられる。ゲームの世界と言ったほうがいいのだろう。好きなように架空の自分を作り上げ、好きな世界で好きなように時間を過ごすコミュニティなのだそうだ。仲間を作ると言うリアリティは保たれている。

メンバーの40代の男性2人が取り上げられていたが、1人は現実の世界ではサラリーマン、仮想世界では超美人の女性で周りの男性を翻弄しながら生活している。この人はまさに娯楽として楽しんでいるようだ。もう一人は現実には独身のしがない派遣社員、仮想世界では強靭なスポーツ選手として脚光を浴びている。自分は実際は負け組みだというその派遣社員は、仮想世界では成功者になれるといって画面に向かっていた。楽しんでいる風ではあったが、何か言うに言われぬ後姿である。

このふたりとは少し違うがもう1人の男性が登場。現実世界ではITコンサルタントだったがそれを辞めて、仮想世界でお金を稼いでいるのだと言う。このコミュニティの特色は仮想世界の貨幣が現実世界のそれに還元できるところだそうだ。実際の(仮想の?)銀行は実際にアメリカにあって、例えば仮想の世界で不動産屋を営み、儲けがあると実際のお金に換金できる。この男性は良い時は一月500万円の稼ぎがあると言う。妻と三人の子どもの生活をこれで支えているのだそうだ。

仮想の世界はほとんどが現実と変わらない。人に羽が生えて空を飛んだり、一瞬で顔が作り変えられたりと、そういうことを除けば。例えば道があって、土地があって、家があって、などなど現実的である。この番組に取り上げられていたのは分別のある大人で、自覚を持って遊びとして、或いはビジネスとして仮想世界を利用しているが、現実の社会に熟知していない若者たちがのめりこみ始めたらどういうことになるのだろう。

 そのうち現実が忘れ去れる時代が来るのかもしれない。人は実際に言葉を交わす事はおろか、他人の実際の顔を見ることもなく、ましてや、実際の声を聞くこともなく、それでも個人は“生きている”世界。昔は現実と言うものがあったと、未来の知識人たちは言うかもしれない。彼らの目下の研究課題は、「現実とは何ぞや」である。「現実のコミュニティの不可思議さ」とか「“これ”は何を指す言葉か」とか(今とあまり変わらないか、表向きは)。外とか内とか、肉体とか精神とかそういう区別が今とは全く違うものになるのだろうか。

なんだか阿部公房の世界に入り込んだ気分になってきた。


Hiroko |MAILHomePage